<   2016年 06月 ( 4 )   > この月の画像一覧

フランス国立リヨン管弦楽団@Kitara2016

【プログラム】

1 ラヴェル スペイン狂詩曲
2 ラヴェル 高雅で感傷的なワルツ
3 ラヴェル ダフニスとクロエ 第2組曲
4 ムソルグスキー(ラヴェル/スラットキン編曲)組曲「展覧会の絵」

「ラヴェルの管弦楽曲は、①オリジナルなもの、②自作あるいは他の作曲家のピアノ作品から
の編曲、そして③バレエ音楽の大きく3つのカテゴリーに分けることができ、本日はこれら
すべてのカテゴリーを鑑賞できる。」
(以上、配布されたパンフレットから引用、①②③は筆者追記)

「おっ、そうなんだ。でも①ってどれだ?」と思って眺めると、有名な4は②だし、3は③か。
残る2はきっと②だから、そうすると1が①を指すという訳か。
4もムソルグスキー作品というより編曲したラヴェルの印象が強いので、今回は
「オール・ラヴェル・プロ」と言っても間違いではないだろう。
しかも、本場フランスの伝統あるオーケストラだけに期待は大きい。

全国ツアーの初日だけに長旅の疲れが演奏に出るのではないかと心配したが、杞憂だった。
どの作品も色彩感あふれるだけにアンサンブルのみならず、各パートの味がほしいところだが、
スラットキンさんの指揮のもと1から弦楽器の響きは艶やかで、管楽器が絶妙。
その上、オーケストラがフルパワーを発揮しても音が混濁せずに大ホールを満たすのだから
たまらない。

鳴りやまない拍手に応えアンコールをスラットキンさんが客席に向かって説明してから始まる。

5 オッフェンバック  歌劇「ホフマン物語」からホフマンの舟歌
6 スラットキン ツイスト・カンカン

6はオッフェンバックの「天国と地獄」の有名なフレーズを打楽器でやるという趣向が楽しい。

客入はやや空席が目立ち7~8割程度か。
今年の《Kiara ワールドオーケストラシリーズ》の1回目だったのですが、
ひと頃に比べ実力のある指揮者&海外オーケストラのKitaraへの来演数が減っているので
少々もったいない感じでした。
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レナード・スラットキンさんは今なお世界的に活躍されていますが、28年前に来札されて
北海道厚生年金会館(現ニトリ文化ホール)で演奏会を行っています。
オーケストラはロンドン・フィハーモニー管弦楽団で、テンシュテットが病気で退任し、
ウェルザー=メストが就任する前の空白の年だったように記憶しています。
この時ドヴォルジャークのチェロ協奏曲で協演したソリストは堤剛さんでした。
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by capricciosam | 2016-06-23 23:28 | 音楽 | Comments(0)

有元利夫~10年の絵と譜@札幌芸術の森美術館2016

DENONから発売されていた有田正広さんのCDのジャケットにはある作家の作品
が使われていた。画像は所有する一枚だが、どことなく中世を連想させる女性が
非現実的な空間に佇んでいる。スカート丈が長く足が隠れているため、
果たして地に足がついているのかどうかすらわからない。
一種浮遊しているようにも見える。不思議な絵だな、と思っていた。
そのわざとらしい作りや構えがバロック音楽には不思議とあっていた。
この作家の方はどなたなんだろうとは思ったものの、特に調べることもなかったが、
先日偶然有元利夫さんという方だと判った。
ちょうど札幌芸術の森美術館で回顧展が開催されていたことから足を運んでみた。
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サブタイトルが「10年の絵と譜」とあるが、38歳で早逝したため作家としての
活動は約10年余りと短く、その間の作品が年齢を追って約120点展示されていた。
絵画作品のテーマはCDジャケット同様、非現実的な空間に佇む一人の女性というのは
共通している。それが手を替え品を替え様々なバリエーションで作られている訳だが、
同一テーマの飽くなき追求というと聞こえは良いとは思うが、
どの作品からも何かを訴えようとした気配は感じられない。
むしろ同一素材をいかに表現するかを楽しんでいる風に思えてくる。
つまり、表現することに熱中していて作品を作成するに至ったモチーフが感じられない、
との穿った見方も可能なのかもしれない。そういう点では表層的として片付けられそう
にも思えるが、それにしては、どの作品も何かを触発される不思議な感覚に陥る。
ただ、晩年には作風を変える気配を感じさせた作品も残されていただけに、
もっと長生きしていたら果たしてどんな有元ワールドを見せてくれていたのだろう、
との思いも残った。

作家はまめに日記をつけていたようで、会場にはそれらの断片が所々掲示されていた。
読んでみると、作品を作る時は素材の組み合わせによる偶然性を楽しみ、風化に関心があり、
作品を見て違和感から立ち止まって考えてもらうことを狙っていたというようなことも
書かれてあった。まさしく、作家の術中にまんまとはまってしまった訳だ。

会場にはバロック音楽を愛した作家が作曲した作品も流されていた。
また当日は第17代Kitara専属オルガニストのジョン・ウォルトハウゼンさんによる
チェンバロによるミュージアムコンサートが約60分開催された。
用意されたイスが足りずに立ち見の盛況だった。
演奏された曲は次のとおり。

1 クープラン クラヴサンド曲集 第1巻 第3組曲より5曲
2 有元利夫 RONDO
3 J.S.バッハ パルティータ第4番ニ長調
アンコールに先日米国で起きた悲劇的な銃乱射事件を悼み一曲(曲名不明)。
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<追記6.21>記事の一部を加筆修正しました。


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by capricciosam | 2016-06-19 20:31 | 展覧会 | Comments(0)

札響名曲~ウィーン:華麗なるヴァイオリンと運命@Kitara2016

【プログラム】

1 モーツァルト セレナード第13番ト長調《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》
2 モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調
3 ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調「運命」

オーケストラの演奏会に指揮者は欠かせないと考えるのは、指揮者が
演奏の善し悪しを左右する要因と考えることによるのだろう。事実、
同じオーケストラでも指揮者により演奏がガラッと変わる鑑賞体験を
してきたことから、個人的にはやはり妥当なことと思う。
では指揮者なしではオーケストラは機能しないのか、と言えば必ずしも
そうではないようだ。

指揮者なしの場合は、ソリストやコンサートマスターが指揮振りをする
ような感じでオケを牽引していくが、札幌交響楽団(以下「札響」という。)を
指揮者無しで聴いて感銘深かったのは、昨年9月定期のハインツ・ホリガーさん
以外では、安永徹さんによる2009年の演奏会が印象深い。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で長年コンサートマスターを努められていた
安永さんが引退後札響と初めて協演したものだが、あの時も札響のアンサンブル
が引き締まり、札響のサウンドが活き活きしたような印象を受けた。
きっと指揮者に依存しない分、演奏者の自主性が高まり、お互いの音に
より敏感になっていくため、結果としてアンサンブルの精度が高まるため
ではないか、と推定している。
著名な指揮者の中にはオーケストラに積極的に室内楽を奨励する場合もある
ように聴いたことがあるが、アンサンブルの精度向上に指揮者なしの効果は
確かにあるのではないかと思う。
そんな視点で有名オケを眺めると結構オーケストラ内の室内楽が盛んな
ようにも思えてくる。逆に、室内楽活動が盛んな場合はオーケストラとしての
演奏も充実してくるということなのか。

閑話休題。今回登場したフォルクハルト・シュトイデさんは
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の現役コンサートマスター。
今回も安永さんの時感じた「活き活き感」がより一層強まった感じで、
1の出たしから明らかに札響の音が変わっている。
弦楽器の一体感が素晴らしく、見事なアンサンブルなのだ。
併せてスポーツカーにでも乗っているような疾走感が感じられる。
事実、テンポはやや速かったのかもしれない。
3はパンフレットでは約35分となっていたが、実際は31分程度だった。
じゃ、演奏はせこせこしたつまらないものだったのか、というとまるで逆。
札響のアンサンブルが緊密なまま最後まで乱れないので、
一瞬たりとも飽きないのだ。
そのため、全力で走りきった後のような充実感と爽快さが味わえたのかもしれない。
普段聴き慣れた名曲をリフレッシュさせたような強い印象が残った。
鳴りやまぬ拍手に応えてアンコールを一曲。

モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」序曲

ほぼ満席の大ホールからはさらなる大拍手が起きた。
今回シュトイデさんは6/4~6/18の日程で来日されて、リサイタル6カ所、
オケとの協演2カ所となっています。リサイタルには6/15六花亭札幌本店
も含まれています。
確か昨年はシュトイデ弦楽四重奏団としても来札してくれていたようですから、
今後も来道して札響と協演していただきたいものです。
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<追記6.21>
記事の一部を加筆修正しました。
また、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の現役コンサートマスターによる弾き振りは
昨年PMF-GALAで、ライナー・キュッヒルさんによるモーツァルトを体験していました。
あの時も見事なものだと感心しました。その時の記事はこちらです。
また、安永徹さんが演奏活動をしばらく休止されていますが、体調は回復されたのかな。
またステージに元気な姿を見せていただきたいものです。



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by capricciosam | 2016-06-18 20:37 | 音楽 | Comments(0)

庄司紗矢香無伴奏ヴァイオリン・リサイタル@北広島市花ホール2016

【プログラム】

1 J.S.バッハ 幻想曲とフーガ ト短調(J-F.ヌーブルジェ編)
2 バルトーク 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
3 細川俊夫 ヴァイオリン独奏のための「Exstasis」(脱自)2016  日本初演
4 J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調

庄司紗矢香さんの演奏を聴くのはパガニーニ国際コンクール優勝まもない2001年に
ユーリ・テミルカーノフ指揮サンクトペテルブルク・フィル演奏会において
チャイコフスキーの協奏曲を聴いて以来。15年ぶりということになる。
あの時は少女の面影を感じさせるのに芯のある力強い演奏で、
さすがメジャーデビューしただけのことはあるな、と感心したものだ。
ようやく再び聴くチャンスが巡ってきたら、なんと無伴奏演奏会とは。
彼女の成長ぶりを実感できる絶好の機会となった。

「無伴奏」というのは演奏者の力量がステージ上ですべてさらけ出されるだけに
プロにとってはそうそう安易に取り組めるものではないだろうし、取り組む以上は、
演奏者の自信や意欲は並々ならぬものがあるのではないか、と勝手に解釈している。
例外的に多いピアノは別として、振り返ってみてもせいぜいチェロ、ギターぐらいか。
ヴァイオリンはピアノとのソナタは結構聴いたが、アンコールで演奏された場合を除けば
無伴奏作品だけの演奏会は今回が初めてだった。

2はJ.S.バッハ以来のヴァイオリン・ソナタの傑作と言われながら、
ヴァイオリンという楽器の特性を無視して作られた側面があるせいか難曲と言われている。
緊張感を貫きつつ千変万化する音を一心不乱に紡ぐ彼女の「ど迫力」に圧倒されて
身じろぎもせずに聴き入ってしまった。名手ならではの名演と言っても過言ではない。
もうこれだけでも今夜足を運んだ甲斐があったというものだが、休憩後も凄かった。

3は彼女のために作曲された作品。

「ヴァイオリンを独奏する庄司紗矢香の姿は、私にとって「巫女」である。
彼女はヴァイオリンという楽器を自らの内なる声(うた)の延長とし、彼女の
内と外に流れる壮大な宇宙のエネルギーと一体化しようとし、うたう。」
(以上、配布されたパンフレットに掲載された細川俊夫の言葉より引用)

イメージされたのが「巫女」という例えには驚いたが、一心不乱に演奏に打ち込む
彼女の姿からは、なるほどそんな風にもとれるなと思った。
作品自体も技巧を凝らした不思議な作品だった。イントロは尺八でも鳴っているのか、
と思ったくらいで、ヴァイオリンでこんな音まで出せるのか、と驚きの連続だった。
苦手な現代音楽ではあるが、飽きずに聴かせられたのは彼女の力量の賜だろう。
興味深い作品だった。

最後に4が演奏されたが、当夜はこの有名曲目当ての方も多かったのではなかろうか。
(正直に言いますが、小生はそのひとりです、ハイ。)
なにしろ名手の手による「シャコンヌ」である。期待するなというのが無理というもの。

3の後なのに、休憩もほとんど取らずにステージに登場すると、
なんと譜面台を横にどけて一見無造作に暗譜で弾き始めた。
しかもいささかの迷いや弛緩もなく曲は進む。
「アルマンド」「クーラント」「サラバンド」
楽章間はほとんど間を置かずに次々と弾いていき、「ジーグ」から
さらに短い一瞬の間をとり、「シャコンヌ」へ。
作品の持つ精神的な深さと同時に「祈り」さえも感じられたが、
彼女の「巫女」としての機能が見事に開花していたからではないか。名演。

終曲まで客席からは不快な異音も目立たず、最後まで期待できるかなと思ったら、
やはりというか、無粋なフライング拍手があり、ぶちこわし(怒)。
あの時ほとんど音は消えかかっていたが、まだ弓がヴァイオリンに触れていたし、
彼女は腕を下ろしきっていなかった。ということは演奏は続いているということだ。
熱烈な拍手よりも自らの内に深い感動が満たされることを確認してからの拍手で
遅すぎることはない。演奏を終えた後の貴重な無音の時間が聴く者の仕上げに
欠かせなかったのに、あの暴力的なフライング拍手で台無しにされたのは残念だった。
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<追記6.2>一部加筆、修正しました。
<追記6.21>
今日は夏至。今年もまだ半ばを過ぎた訳ではないのに気が早い話だとは思うが、
今年を回顧した時に強い印象を与えた演奏会として思い返すことは間違いない。
それほど強烈な衝撃だった。全国でも同じ思いをしている人も少なからずいたのではないか
と想像するが、記憶が風化しないうちに備忘録として今回の全国公演の日程を記しておきたい。

5/26(木)北海道 美深町文化会館COM100
5/27(金)埼玉県 川口市総合文化センターりりあ
5/29(日)神奈川県 神奈川県立音楽堂
5/31(火)北海道 北広島市芸術文化ホール
6/1 (水)愛知県 名古屋電気文化会館
6/4 (土)広島県 広島市JMSアステールプラザ
6/5 (日)島根県 松江市総合文化センター
6/7 (火)東京都 紀尾井ホール



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by capricciosam | 2016-06-01 00:28 | 音楽 | Comments(0)