志の輔らくご昼の部@富良野演劇工場2016

今日はPMFとファイターズを一休みして、昨年同様富良野まで足を運びました。
師匠が枕で話していましたが、今回の富良野の落語会は通算16回、連続12年になるそうです。
師匠もほめていましたが、こんなに続くのも運営されているNPO法人の皆さんの努力の賜でしょう。

最初に登場したのは7番弟子の立川志の麿。
ほとんど枕なしで与太郎話の「金明竹」へ。(まあ、時間的制約あるだろうからね)
傘や猫を無難に笑わせ、難所の上方者の口上へ。都合4回繰り返すことになるが、
3回目は滑舌もよろしく早口気味にスーッとやってのけたから会場からは盛大な拍手。
古池やのさげは無難に。

続いて鮮やかな橙色の着物の志の輔師匠登場。
「さわやかな夏、こんな暗闇へようこそおいでくださいました。」(笑)
ホント会場は黒を基調としているから照明がなければ真っ黒だね。
「高座は普通見上げるものだが、ここでは皆さんから見下ろされている。」(笑)
階段状の底がステージだから、そうなっちゃうね(笑)。でも見やすい距離なんだよね。
師匠は東南アジア各地で落語会を開いている話から、落語では同じところで一斉に笑い、
一斉に静まりかえる様を現地の人が「新しい宗教なのか?」とは笑わせます。
楽屋に色々な物が届けられる話では4月に梨が届けられてビックリした話や
夏に事務所にみかんが届けられても驚かなくなった話から「千両みかん」へ。
(師匠の着物の色と枕のみかんのところでピンときたら通ですね。小生はさっぱりです、ハイ。)
若旦那の恋患いと思いきや、実はみかんが食べたいという、しかも夏に。
安請け合いした番頭が四苦八苦するという粗筋はそのままですが、細部は自在。
困った番頭が店先で「はじめが《み》で、終わりが《ん》のものだよ。あるかい?」とやると
「水戸黄門」(笑)「みりん」(笑)と答えが返ってくると、「ハイ、次の問題ガンバロウ」(笑)
おまけに「ある訳ないだろう、うちは床屋だよ」と笑いの波状攻撃。まいったねー。
そして、みかん問屋の蔵を調べたあげくの値付けの問答は師匠の話芸の力の見せ所でした。
この話は人情話のひとつなんでしょうが、下げの味わいは単なる人情話とも言えない
人間のおろかさを突く不思議な味わいの作品ですね。


15分の休憩の後3番目は三遊亭全楽師匠。
「おまえは誰なんだ?」と、立川流の落語会に混じる「不純物」扱いで笑いをとった後、
自分は5代目円楽の弟子と自己紹介して、6代目の不倫釈明会見には指南役がいたはずだと
「あくび指南」へ。粗筋は変えずに、導入の部分はじめ細部は自在にアレンジして笑わせます。
いっしょに来たカミサンはツボに入ったのか、笑いっぱなしでした。

とりは志の輔師匠。
夏には全国各地の落語会で幽霊話が取り上げられているという話から、故丹波哲郎さんや
町内とは一体どこまでなんだ?という体験話や町内でのお化け屋敷での人間関係の中で
「恐がる」ことを覚えていったのに、最近はどんどん恐がることがなくなっているという話に。
師匠じゃないですが、「こういう芸能は同じものが頭に浮かぶから成り立つ」という指摘は
確かに当たり前だけれど大事なことです。
これらを枕に「へっつい幽霊」に。
ところが、話をはじめてすぐに話を止めて、会場を見て一言。
「お客さんの半分は《へっついって何だ?》と思っていらっしゃる顔をしている。」
とへっついの説明に。これはいち早く会場の気配をつかんだのでしょうが、適切でしたね。
後の話の理解が進みます。粗筋はそのままに登場人物の描写ややりとりが実に上手いし、
アドリブも当意即妙。「おまえは誰だ?」「へい、《みかん》の番頭さんです」(大笑)
下げたところで、そのままご挨拶に。
富良野の良さを再び話され、「ひょっとしたら来年も」と口にしたところで
会場からは盛大な拍手が。そりゃ、そうですよ。師匠、期待してます!
最後に「お気をつけてお帰りください。」と言って高座を降りられました。

c0007388_23463793.jpg



[PR]
# by capricciosam | 2016-07-23 23:46 | 舞台 | Comments(0)

PMFベルリン演奏会@Kitara2016

【プログラム】
1モーツァルト(シェーファー編):歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」によるハルモニームジークから※
 序曲/僕のドラベッラは/愛の息吹は/お手をどうぞ/恋は小さな泥棒/祝福あれ、二組の花婿と
2 テレマン(ギュンター編):協奏曲 ヘ短調 TWV 51:f1 [トランペット、トロンボーン、ピアノ]
3 ベートーヴェン(レヒトマン編):五重奏曲 変ホ長調 作品4※
4ヒルドガード(マルバッド編):コンチェルト・ボレアリス [バス・トロンボーン、ピアノ]
5リスト(ドクシツェル編):コンソーレション 第3番 [トランペット、ピアノ]
6ドビュッシー(リンケルマン編):「子どもの領分」から
 グラドゥス・アド・パルナッスム博士/小さな羊飼い/ゴリウォーグのケークウォーク
7 ピアソラ(シェーファー編):「タンゴの歴史」から
  ナイトクラブ 1960/ボルデル 1900
※木管五重奏版

PMFベルリンは今夏もベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の管楽器奏者が主体。
曲により演奏者が異なるので先に演奏者を記します。
①フルート:アンドレアス・ブラウ(前首席)昨年に引き続き
②オーボエ:ジョナサン・ケリー(首席)初参加
 今年2月のベルリン・バロック・ゾリステン演奏会にソロとして登場
③クラリネット:アレクサンダー・バーダー~昨年に引き続き
④ファゴット:フォルカー・デスマン:ベルリン音楽大学教授、初参加
⑤ホルン:サラ・ウィリス~昨年に引き続き
⑥トランペット:タマーシュ・ヴェレンツェイ(首席)昨年に引き続き
⑦トロンボーン:シュテファン・シュルツ~2006年以来

※木管五重奏~①②③④⑤

お初の曲も多く予習できたのは少数(しかも原曲のみ)なため、昨年同様耳を傾けているうちに
楽しく時は過ぎた、しかもあっという間にという感じで、実に楽しいひとときでした。
今回も昨年同様木管と金管に別れて演奏していました。
木管五重奏はソロも素敵なのですが、音が溶け合うとまた絶妙。
特に1は全曲聴いたことはなかったのですが、各楽器の掛け合いが実に堂に入っている。
まるでオペラを観た気分になってしまいました。早くも盛大な拍手。
金管で印象深いのは⑥のタマーシュさん。3年連続聴いてうまさに圧倒されます。
2のバロックのきらびやかさ、6の技巧は見事の一言です。

アンコールの前にサラさんが紙を読み上げて日本語で会場に挨拶。
なかなかお上手でした。笑顔の素敵な彼女はPMFベルリンのMCにピッタリ。
今年もSarah Musicのロケをやったのかな。
ということで※に昨年同様PMFアカデミー生の打楽器奏者2名が加わります。
(今回は打楽器奏者のライナー・ゼーガスさんは登場しませんでした。)

8 アブレウ:ティコティコ

楽しくお開き。アンコール曲は定番化するのかな?
ほぼ満席。前売券完売だったが、当日券が20枚ほど販売されたようです。

c0007388_23282220.jpg





[PR]
# by capricciosam | 2016-07-22 23:28 | 音楽 | Comments(0)

PMFウィーン弦楽四重奏演奏会@Kitara2016

【プログラム】

1 ハイドン:弦楽四重奏曲 ヘ長調 作品77-2「雲がゆくまで待とう」
2 シューベルト:弦楽四重奏曲 第9番 ト短調 D. 173
3 シューベルト:弦楽四重奏曲 第12番 ハ短調「四重奏断章」D. 703
4 ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第8番 ハ短調 作品110

PMF創設以来ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は指導陣の主要な柱だった。
コンマスのライナー・キュッヒルさんは参加9回(4年連続)となったが、
来月には定年を迎えるはずだから、現役としては今回が最後の参加となるのかな。

プログラムは古典、ロマン、現代で構成。中でも、お目当ては4だった。
ショスタコーヴィチの作品を取り上げるのは2013年演奏会以来3年ぶり。
彼の作品にはアイロニカルな視点を有する思索的な作品も多く、
この作品も一般的には「ファシズムと戦争の犠牲者のため」に献呈されたという
誕生の背景から入りがちだが、そんなことを抜きにしても聴く者の心をとらえる力に
満ちている。それは、作曲者自身の苦悩する心の一端を作品としてストレートに
反映させていることに成功しているからではないか、と思っている。

5楽章から構成され、続けて演奏される。
重苦しい第1楽章が第2楽章では一転して激しい感情が奔流となって噴出する。
キュッヒルさんの顔がみるみる紅潮していく。
苦しみ、不安、怒り等の決して心地よい感情が連想されることはないのだが、
劇的に変化する様にぐいぐい引き込まれ、最後は第1楽章の重苦しさに満ちて閉じられる。
一瞬の静寂の後の盛大な拍手。秀演。
実演で聴くのは初めてだったが、こんな高いレベルで聴くことができたのは幸運だった。

アンコールは2曲。コントラバスのミヒャエル・ブラーデラーさんも加わります。

5 佐渡おけさ
6 チャイコフスキー 弦楽セレナーデ第2楽章

シューベルトの中では3が印象深い。
「断章」と名付けられたとおりひとつの楽章しかない未完の作だが、
激しい情熱と叙情を感じさせる独立した作品としての魅力がある。
やや早めのテンポでキュッヒルさんがぐいぐい牽引することでより劇的な印象が残った。

前売券完売の人気公演だったが、30枚ほど当日販売も行われたようだ。
(ホール到着時には当日券売り場は閉まっていたのでその点は不明)
それでも若干の空席があり、満席とはならず。

c0007388_19475642.jpg

[PR]
# by capricciosam | 2016-07-18 19:50 | 音楽 | Comments(0)

小田和正ツアー2016@札幌・北海きたえーる

まもなく69歳になる小田さんの2年ぶりの全国ツアー。
ツアーのタイミングで発売されたのはベストアルバムで、新作ではありません。

「今回のツアー名の「君住む街へ」もまた、思い入れのあるタイトルです。
本来、ツアーはオリジナルアルバムで、新しい曲をたくさん作ってから
やるべきかと思っていましたが、この年齢になると、できるだけ早く、
また皆さんのところへ会いに行ったほうがいいかなと、
自分のことだけではなく、客席の方々の年齢のこともありますから(笑)」
(以上、会場で配布された明治安田生命のパンフレットから引用)

さすがです。小田さんと同年代と思われる世代から若い世代まで幅広いファンが
集まった札幌公演初日に足を運んできました。
5分遅れで会場が暗転すると、ステージ正面巨大モニターに1969年からの
小田さんの映像が次々に映し出されていきます。その間にバンドメンバーが登場し、
最後に小田さんが登場。

<セットリストはツアー初日の静岡からバレバレで、会場ごとに若干異なるようです。
当日小田さんからも特に注意はなかったので、時系列で記事を書いた関係で
明らかになりますので、これから楽しまれる方はご注意ください。>

1 wonderful life~SUBARU CM曲
2 こころ

MC「とっても楽しみにしていた札幌。月曜日から天気に恵まれました。
大いに盛り上がっていきたいと思います。」(拍手)(メンバー紹介)
「ちょっと前にベストアルバムが出たんですが、1枚目はオフコースの曲が
入っているのでオフコースの曲をやりたいと思います。」
そしてセンターマイクでギターを構えながら一言。
「オフコースに嫉妬しちゃいます。」
何故そんな言葉を?と内心驚きましたが、単純に失ってしまった時に対してなのかな。
謎の一言でした。

3 眠れぬ夜~曲前半のアコギ2本のデュオスタイルは鈴木さんとの当時を連想させます。

MC「ステージで何しゃべろうかなと考えているんですが、忘れてしまった(笑)
あの頃(の作る歌は)心象系なので、少し景色を入れてみたらと言われて作った曲です。」
 
4 秋の気配
5 さよなら

MC「僕は同級生の集まりにはできるだけ顔を出そうと思っているんですが、
(売れない頃の)昔は「大丈夫か?」と言われ、オフコースが売れても
いつ人気がなくなり売れなくなるかもしれないので「大丈夫か?」と言われてたんですが、
30代過ぎて言われなくなりました。最近は言われなくなった代わりに
「オマエ、いつまで歌うのか?」と言われ(笑)、この頃は
「オマエ、死ぬまで歌ってくれ」と言われております。」(笑) これには会場大受け
「僕が最初に作った曲です。」と6を始めます。

6 僕の贈りもの
7 愛を止めないで
8 時に愛は
9 心はなれて~ピアノ+ストリングスで。モニターには最後の武道館ライブの映像が。
10 言葉にできない 
11 I LOVE YOU~ジャージーなアレンジ。素敵です。 
12 YES-NO

<御当地紀行>
札幌駅から始まりますが、「ほとんど中国人だな」と北海道観光の現状を的確に指摘。
大通りのトウモロコシについては率直な感想を(まぁ、旬はもう少し先だからね)。
百合が原公園を経てモエレ沼公園では山の山頂を目指します。
北大テニス部の学生に「君たち何年生」と聞いたところ、「1年生です」と答えたら
「なんだ1年坊主か」と途端に素っ気ない反応になったので笑ってしまいました。
藻岩高校前では「君住む街で」のプロモーションビデオに当時の演劇部の生徒が
出演していたという制作裏話を説明してくれました。30年前だそうです。
北海道神宮、市電と続き藻岩山でおしまい。

13 the flag~モニターには会場客席のオヤジのアップが次々に映し出される。
       歌詞がそういう年代へのエールだからね。納得。  
14 伝えたいことがあるんだ
15 恋は大騒ぎ 
16 キラキラ
17 ラブ・ストーリーは突然に
18 風と君を待つだけ
19 たしかなこと

MC「ツアーに出ると故郷というのはつくづくいいなと思います。大事にしてください。」

20 my home town~モニターには札幌のモノクロ写真が次々と映し出されます。
21 さよならは 言わない
22 今日も どこかで
23 風は止んだ~映画64(ロクヨン)

MC「さっきの友達の話じゃないけれど、死ぬまで歌うことはないでしょうが、
君住む街から30年。あのプロモーションビデオに出演された藻岩高校の演劇部の方は
(会場に)いますか?(さすがに、初日はいらっしゃいませんでした。)
それでは最後にツアータイトルの曲を歌ってお別れします。」

24 君住む街へ

アンコール1
25 愛になる 
26 YES-YES-YES
27 やさしい夜

アンコール2
MC「ありがとう。オフコースの歌をやります。」
28 夏の終わり
29 ダイジョウブ 

バンドメンバーもマイクを持って小田さんとともに一列に整列して
「クリスマスの約束」で歌うあの曲をア・カペラで。素敵でした。

30 また会う日まで

終演21時20分過ぎ。
3時間近く休憩も大して取らず会場中動き回ってしかもほぼ歌いっぱなし。
なのに後半になる程、声の伸びも良くなった小田さん。
ツアー撤退はまだまだ先なんでしょうね。たいしたものです。
お友達と同様で恐縮ですが、どうぞ死ぬまで歌ってください(笑)

<蛇足>
初めての北海きたえーる。スタンド席でしたが、真駒内アイスアリーナ同様
ステージとの距離も適度で、イスも良好でお尻痛くならず。
ただ、ステージが横長に設定されたので、ステージ側のスタンド席は少々つらかったかな。
もっとも小田さんはあちこち動き回るので、その辺は緩和されているのかもしれませんが、、
また、終演まで時折スタンドから男性が大きな声を出していましたが、
どなり声のせいか肝心の小田さんに伝わらず空回り。
場を盛り上げる方向じゃなく、進行を邪魔しがちだったのが少々残念でした。
c0007388_16371438.jpg

<追記7.16>記事の一部に加筆、修正しました。


[PR]
# by capricciosam | 2016-07-13 23:56 | 音楽 | Comments(0)

フランス国立リヨン管弦楽団@Kitara2016

【プログラム】

1 ラヴェル スペイン狂詩曲
2 ラヴェル 高雅で感傷的なワルツ
3 ラヴェル ダフニスとクロエ 第2組曲
4 ムソルグスキー(ラヴェル/スラットキン編曲)組曲「展覧会の絵」

「ラヴェルの管弦楽曲は、①オリジナルなもの、②自作あるいは他の作曲家のピアノ作品から
の編曲、そして③バレエ音楽の大きく3つのカテゴリーに分けることができ、本日はこれら
すべてのカテゴリーを鑑賞できる。」
(以上、配布されたパンフレットから引用、①②③は筆者追記)

「おっ、そうなんだ。でも①ってどれだ?」と思って眺めると、有名な4は②だし、3は③か。
残る2はきっと②だから、そうすると1が①を指すという訳か。
4もムソルグスキー作品というより編曲したラヴェルの印象が強いので、今回は
「オール・ラヴェル・プロ」と言っても間違いではないだろう。
しかも、本場フランスの伝統あるオーケストラだけに期待は大きい。

全国ツアーの初日だけに長旅の疲れが演奏に出るのではないかと心配したが、杞憂だった。
どの作品も色彩感あふれるだけにアンサンブルのみならず、各パートの味がほしいところだが、
スラットキンさんの指揮のもと1から弦楽器の響きは艶やかで、管楽器が絶妙。
その上、オーケストラがフルパワーを発揮しても音が混濁せずに大ホールを満たすのだから
たまらない。

鳴りやまない拍手に応えアンコールをスラットキンさんが客席に向かって説明してから始まる。

5 オッフェンバック  歌劇「ホフマン物語」からホフマンの舟歌
6 スラットキン ツイスト・カンカン

6はオッフェンバックの「天国と地獄」の有名なフレーズを打楽器でやるという趣向が楽しい。

客入はやや空席が目立ち7~8割程度か。
今年の《Kiara ワールドオーケストラシリーズ》の1回目だったのですが、
ひと頃に比べ実力のある指揮者&海外オーケストラのKitaraへの来演数が減っているので
少々もったいない感じでした。
c0007388_23240960.jpg
レナード・スラットキンさんは今なお世界的に活躍されていますが、28年前に来札されて
北海道厚生年金会館(現ニトリ文化ホール)で演奏会を行っています。
オーケストラはロンドン・フィハーモニー管弦楽団で、テンシュテットが病気で退任し、
ウェルザー=メストが就任する前の空白の年だったように記憶しています。
この時ドヴォルジャークのチェロ協奏曲で協演したソリストは堤剛さんでした。
c0007388_16203246.jpg


[PR]
# by capricciosam | 2016-06-23 23:28 | 音楽 | Comments(0)

有元利夫~10年の絵と譜@札幌芸術の森美術館2016

DENONから発売されていた有田正広さんのCDのジャケットにはある作家の作品
が使われていた。画像は所有する一枚だが、どことなく中世を連想させる女性が
非現実的な空間に佇んでいる。スカート丈が長く足が隠れているため、
果たして地に足がついているのかどうかすらわからない。
一種浮遊しているようにも見える。不思議な絵だな、と思っていた。
そのわざとらしい作りや構えがバロック音楽には不思議とあっていた。
この作家の方はどなたなんだろうとは思ったものの、特に調べることもなかったが、
先日偶然有元利夫さんという方だと判った。
ちょうど札幌芸術の森美術館で回顧展が開催されていたことから足を運んでみた。
c0007388_20421939.jpg
サブタイトルが「10年の絵と譜」とあるが、38歳で早逝したため作家としての
活動は約10年余りと短く、その間の作品が年齢を追って約120点展示されていた。
絵画作品のテーマはCDジャケット同様、非現実的な空間に佇む一人の女性というのは
共通している。それが手を替え品を替え様々なバリエーションで作られている訳だが、
同一テーマの飽くなき追求というと聞こえは良いとは思うが、
どの作品からも何かを訴えようとした気配は感じられない。
むしろ同一素材をいかに表現するかを楽しんでいる風に思えてくる。
つまり、表現することに熱中していて作品を作成するに至ったモチーフが感じられない、
との穿った見方も可能なのかもしれない。そういう点では表層的として片付けられそう
にも思えるが、それにしては、どの作品も何かを触発される不思議な感覚に陥る。
ただ、晩年には作風を変える気配を感じさせた作品も残されていただけに、
もっと長生きしていたら果たしてどんな有元ワールドを見せてくれていたのだろう、
との思いも残った。

作家はまめに日記をつけていたようで、会場にはそれらの断片が所々掲示されていた。
読んでみると、作品を作る時は素材の組み合わせによる偶然性を楽しみ、風化に関心があり、
作品を見て違和感から立ち止まって考えてもらうことを狙っていたというようなことも
書かれてあった。まさしく、作家の術中にまんまとはまってしまった訳だ。

会場にはバロック音楽を愛した作家が作曲した作品も流されていた。
また当日は第17代Kitara専属オルガニストのジョン・ウォルトハウゼンさんによる
チェンバロによるミュージアムコンサートが約60分開催された。
用意されたイスが足りずに立ち見の盛況だった。
演奏された曲は次のとおり。

1 クープラン クラヴサンド曲集 第1巻 第3組曲より5曲
2 有元利夫 RONDO
3 J.S.バッハ パルティータ第4番ニ長調
アンコールに先日米国で起きた悲劇的な銃乱射事件を悼み一曲(曲名不明)。
c0007388_20311062.jpg

<追記6.21>記事の一部を加筆修正しました。


[PR]
# by capricciosam | 2016-06-19 20:31 | 展覧会 | Comments(0)

札響名曲~ウィーン:華麗なるヴァイオリンと運命@Kitara2016

【プログラム】

1 モーツァルト セレナード第13番ト長調《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》
2 モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調
3 ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調「運命」

オーケストラの演奏会に指揮者は欠かせないと考えるのは、指揮者が
演奏の善し悪しを左右する要因と考えることによるのだろう。事実、
同じオーケストラでも指揮者により演奏がガラッと変わる鑑賞体験を
してきたことから、個人的にはやはり妥当なことと思う。
では指揮者なしではオーケストラは機能しないのか、と言えば必ずしも
そうではないようだ。

指揮者なしの場合は、ソリストやコンサートマスターが指揮振りをする
ような感じでオケを牽引していくが、札幌交響楽団(以下「札響」という。)を
指揮者無しで聴いて感銘深かったのは、昨年9月定期のハインツ・ホリガーさん
以外では、安永徹さんによる2009年の演奏会が印象深い。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で長年コンサートマスターを努められていた
安永さんが引退後札響と初めて協演したものだが、あの時も札響のアンサンブル
が引き締まり、札響のサウンドが活き活きしたような印象を受けた。
きっと指揮者に依存しない分、演奏者の自主性が高まり、お互いの音に
より敏感になっていくため、結果としてアンサンブルの精度が高まるため
ではないか、と推定している。
著名な指揮者の中にはオーケストラに積極的に室内楽を奨励する場合もある
ように聴いたことがあるが、アンサンブルの精度向上に指揮者なしの効果は
確かにあるのではないかと思う。
そんな視点で有名オケを眺めると結構オーケストラ内の室内楽が盛んな
ようにも思えてくる。逆に、室内楽活動が盛んな場合はオーケストラとしての
演奏も充実してくるということなのか。

閑話休題。今回登場したフォルクハルト・シュトイデさんは
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の現役コンサートマスター。
今回も安永さんの時感じた「活き活き感」がより一層強まった感じで、
1の出たしから明らかに札響の音が変わっている。
弦楽器の一体感が素晴らしく、見事なアンサンブルなのだ。
併せてスポーツカーにでも乗っているような疾走感が感じられる。
事実、テンポはやや速かったのかもしれない。
3はパンフレットでは約35分となっていたが、実際は31分程度だった。
じゃ、演奏はせこせこしたつまらないものだったのか、というとまるで逆。
札響のアンサンブルが緊密なまま最後まで乱れないので、
一瞬たりとも飽きないのだ。
そのため、全力で走りきった後のような充実感と爽快さが味わえたのかもしれない。
普段聴き慣れた名曲をリフレッシュさせたような強い印象が残った。
鳴りやまぬ拍手に応えてアンコールを一曲。

モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」序曲

ほぼ満席の大ホールからはさらなる大拍手が起きた。
今回シュトイデさんは6/4~6/18の日程で来日されて、リサイタル6カ所、
オケとの協演2カ所となっています。リサイタルには6/15六花亭札幌本店
も含まれています。
確か昨年はシュトイデ弦楽四重奏団としても来札してくれていたようですから、
今後も来道して札響と協演していただきたいものです。
c0007388_20365247.jpg

<追記6.21>
記事の一部を加筆修正しました。
また、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の現役コンサートマスターによる弾き振りは
昨年PMF-GALAで、ライナー・キュッヒルさんによるモーツァルトを体験していました。
あの時も見事なものだと感心しました。その時の記事はこちらです。
また、安永徹さんが演奏活動をしばらく休止されていますが、体調は回復されたのかな。
またステージに元気な姿を見せていただきたいものです。



[PR]
# by capricciosam | 2016-06-18 20:37 | 音楽 | Comments(0)

庄司紗矢香無伴奏ヴァイオリン・リサイタル@北広島市花ホール2016

【プログラム】

1 J.S.バッハ 幻想曲とフーガ ト短調(J-F.ヌーブルジェ編)
2 バルトーク 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
3 細川俊夫 ヴァイオリン独奏のための「Exstasis」(脱自)2016  日本初演
4 J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調

庄司紗矢香さんの演奏を聴くのはパガニーニ国際コンクール優勝まもない2001年に
ユーリ・テミルカーノフ指揮サンクトペテルブルク・フィル演奏会において
チャイコフスキーの協奏曲を聴いて以来。15年ぶりということになる。
あの時は少女の面影を感じさせるのに芯のある力強い演奏で、
さすがメジャーデビューしただけのことはあるな、と感心したものだ。
ようやく再び聴くチャンスが巡ってきたら、なんと無伴奏演奏会とは。
彼女の成長ぶりを実感できる絶好の機会となった。

「無伴奏」というのは演奏者の力量がステージ上ですべてさらけ出されるだけに
プロにとってはそうそう安易に取り組めるものではないだろうし、取り組む以上は、
演奏者の自信や意欲は並々ならぬものがあるのではないか、と勝手に解釈している。
例外的に多いピアノは別として、振り返ってみてもせいぜいチェロ、ギターぐらいか。
ヴァイオリンはピアノとのソナタは結構聴いたが、アンコールで演奏された場合を除けば
無伴奏作品だけの演奏会は今回が初めてだった。

2はJ.S.バッハ以来のヴァイオリン・ソナタの傑作と言われながら、
ヴァイオリンという楽器の特性を無視して作られた側面があるせいか難曲と言われている。
緊張感を貫きつつ千変万化する音を一心不乱に紡ぐ彼女の「ど迫力」に圧倒されて
身じろぎもせずに聴き入ってしまった。名手ならではの名演と言っても過言ではない。
もうこれだけでも今夜足を運んだ甲斐があったというものだが、休憩後も凄かった。

3は彼女のために作曲された作品。

「ヴァイオリンを独奏する庄司紗矢香の姿は、私にとって「巫女」である。
彼女はヴァイオリンという楽器を自らの内なる声(うた)の延長とし、彼女の
内と外に流れる壮大な宇宙のエネルギーと一体化しようとし、うたう。」
(以上、配布されたパンフレットに掲載された細川俊夫の言葉より引用)

イメージされたのが「巫女」という例えには驚いたが、一心不乱に演奏に打ち込む
彼女の姿からは、なるほどそんな風にもとれるなと思った。
作品自体も技巧を凝らした不思議な作品だった。イントロは尺八でも鳴っているのか、
と思ったくらいで、ヴァイオリンでこんな音まで出せるのか、と驚きの連続だった。
苦手な現代音楽ではあるが、飽きずに聴かせられたのは彼女の力量の賜だろう。
興味深い作品だった。

最後に4が演奏されたが、当夜はこの有名曲目当ての方も多かったのではなかろうか。
(正直に言いますが、小生はそのひとりです、ハイ。)
なにしろ名手の手による「シャコンヌ」である。期待するなというのが無理というもの。

3の後なのに、休憩もほとんど取らずにステージに登場すると、
なんと譜面台を横にどけて一見無造作に暗譜で弾き始めた。
しかもいささかの迷いや弛緩もなく曲は進む。
「アルマンド」「クーラント」「サラバンド」
楽章間はほとんど間を置かずに次々と弾いていき、「ジーグ」から
さらに短い一瞬の間をとり、「シャコンヌ」へ。
作品の持つ精神的な深さと同時に「祈り」さえも感じられたが、
彼女の「巫女」としての機能が見事に開花していたからではないか。名演。

終曲まで客席からは不快な異音も目立たず、最後まで期待できるかなと思ったら、
やはりというか、無粋なフライング拍手があり、ぶちこわし(怒)。
あの時ほとんど音は消えかかっていたが、まだ弓がヴァイオリンに触れていたし、
彼女は腕を下ろしきっていなかった。ということは演奏は続いているということだ。
熱烈な拍手よりも自らの内に深い感動が満たされることを確認してからの拍手で
遅すぎることはない。演奏を終えた後の貴重な無音の時間が聴く者の仕上げに
欠かせなかったのに、あの暴力的なフライング拍手で台無しにされたのは残念だった。
c0007388_00282178.jpg

<追記6.2>一部加筆、修正しました。
<追記6.21>
今日は夏至。今年もまだ半ばを過ぎた訳ではないのに気が早い話だとは思うが、
今年を回顧した時に強い印象を与えた演奏会として思い返すことは間違いない。
それほど強烈な衝撃だった。全国でも同じ思いをしている人も少なからずいたのではないか
と想像するが、記憶が風化しないうちに備忘録として今回の全国公演の日程を記しておきたい。

5/26(木)北海道 美深町文化会館COM100
5/27(金)埼玉県 川口市総合文化センターりりあ
5/29(日)神奈川県 神奈川県立音楽堂
5/31(火)北海道 北広島市芸術文化ホール
6/1 (水)愛知県 名古屋電気文化会館
6/4 (土)広島県 広島市JMSアステールプラザ
6/5 (日)島根県 松江市総合文化センター
6/7 (火)東京都 紀尾井ホール



[PR]
# by capricciosam | 2016-06-01 00:28 | 音楽 | Comments(0)