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ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団@NHK音楽祭2017

【プログラム】

1 ブラームス ドイツ・レクイエム 作品45

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
ソプラノ:ハンナ・モリソン
バリトン:ミヒャエル・ナジ
合唱:ウィーン楽友協会合唱団

歌舞伎をみた後は渋谷へ移動して初のNHK音楽祭へ。
渋谷駅からNHKへ向かう坂の途中で雨がポツポツ降り始めたので、近くのMUJIで
折りたたみ傘を買った。しかし、その傘も大して濡れないうちにNHKホールへ着いた
のは幸いだった。


「ドイツ・レクイエム」の実演は10年以上前に札響定期で聴いたきりで、
北海道ではなかなか実演に接する機会がなかった。

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の日本ツアーの一環として演奏されたが、
「ドイツ・レクイエム」の演奏は今夜だけ。
ブロムシュテットさんも
「とりわけ私は、日本の聴衆の方々の前でブラームスの<ドイツレクイエム>を初披露
できることに心躍らせております。」(ツアー公式パンフレットより引用)
と強調されていたので期待は大きかった。


指揮台の楽譜は閉じたままで、ブロムシュテットさんは暗譜で指揮されていた。
演奏には無駄な力みが感じられず、端正にさらさらと流れるが如くなのだ。
それが、逆にこの作品の核心に迫っているように思えたし、同時に作品への
リスペクト感が自然体の中から満ちあふれてきているようだった。
かと言って劇的さが希薄すぎる訳でもない。高いレベルでの中庸という感じだ。


また、特筆すべきはウィーン楽友協会合唱団。この作品は合唱の比重が高いと
思っているが、今回は合唱で聴かされたという気分になるくらい、実に説得力があった。
指揮者、オーケストラ、ソリスト、合唱が一体となった名演。
今回を越える「ドイツ・レクイエム」に出会うことは、今後そうそうないだろう。

曲が終わってもブロムシュテットさんはじっとしてなかなか腕を下ろそうとしなかった。
客席も水を打ったように静まりかえって(拍手をした唐変木一名を除いて)たっぷり
とした余韻を味わうことで、一層の感慨に浸ることができたのは僥倖と言えよう。

帰り道はしっかり濡れていた。恐らく演奏会の間は降っていたのだろうが、幸い雨は
上がっていた。結局、傘は使わずに済んだが、お陰でほぼ新品のまま持ち帰ることになり、
傘が東京土産になってしまった。この傘は「ゲヴァントハウスの傘」とでも呼ぼうかな。

<蛇足12.31>
12月はいくつかの演奏会を聴きに行こうと思っていたが、
急に諸事が重なり結果的に今回が今年の聴き納めになってしまった。
今年は今回の「ドイツ・レクイエム」と
4月のBCJの「マタイ受難曲」
宗教曲の珠玉の名演に出会えた一年となったことに感謝したいと思う。


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by capricciosam | 2017-11-19 12:04 | 音楽 | Comments(0)

吉例顔見世大歌舞伎@歌舞伎座2017

【昼の部】

1 湧昇水鯉滝『鯉つかみ』
2 『奥州安達原』環宮明御殿の場
3 『雪暮夜入谷畦道』直侍

久しぶりの歌舞伎。新築なった歌舞伎座では初めて。
地下鉄東銀座駅から木挽町広場に至り、エスカレーターを上がると、
正面破風屋根に櫓も上がり顔見世であることがわかる仕掛けになっている。

1「鯉つかみ」
 滝窓志賀之助…市川染五郎
 小桜姫…中村児太郎

「釣家の息女小桜姫は許嫁で重宝の龍神丸を探す旅に出た滝窓志賀之助を待ち焦がれて
います。ある日、蛍狩りの最中に志賀之助が姫の前に姿を現し、二人は館へ戻り奥へと
入ります。時同じくして館に現れたのは龍神丸を持参した志賀之助。出迎えた家老の
篠村次郎は二人の志賀之助に困惑しますが、刀は真の龍神丸。そこへ関白家の御使者
堅田刑部がやってきて姫を差し出すよう迫りますが、龍神丸を持つ志賀之助がその
悪巧みを暴き成敗します。すると奥座敷の障子には姫と鯉の影。実は、奥にいる
志賀之助は偽物で、琵琶湖に古くから住む鯉の精が化けた姿だったのです。」
(以上、公演チラシより引用)

二人が仲むつまじく踊る場面で徐々に志賀助に化けた鯉が徐々に正体を現してきて、
愛しい姫を奪おうとする設定に観客は気がつく仕掛けになっている。
最後の鯉の精が住む滝の場面での志賀助と鯉の格闘での染五郎の早変わりは実に楽しい。
いささかの遅れもなく見事に決まるのだが、よく似た背格好の役者の方なので、
ちょっと目を離すと、どちらがどちらやらと思ってしまう。
ドキュメンタリー等で見ると舞台裏は大変なようだが、いやはや大したものだな。
しかも宙乗りや本水を使う(本作は夏に演じることが多いようだ)ので、格闘シーンで
鯉が尻尾を振るたびに客席前列には水の飛沫が飛んでいたんじゃないかと
冷や冷やしていた。はじめて見た「鯉つかみ」は、物語も場面転換もわかりやすく、
外連もある派手な場面もたっぷりで初心者にも楽しめる演目だった。
かみさんは染五郎の声があまり通らないと気にしていたが、小生は特段気にならず。
来年1月の幸四郎襲名後もさらに磨きをかけていってもらいたいと思う。


2「奥州安達原」~環宮明御殿の場「萩袖祭文」
 安倍貞任…中村吉右衛門
 萩袖…中村雀右衛門
 安倍宗任…中村又五郎
「源義家が奥州安倍氏の反乱を平定した後のこと。皇弟環宮が行方不明になり、
その咎から平兼杖直方に切腹の命が下されます。そこへ父の難儀を知った娘の萩袖が、
盲目で袖乞いの身を顧みず駆けつけます。しかし直方は安倍貞任と駆け落ち妻となり、
ごぜに零落した娘の対面を許しません。萩袖は不幸を詫びる祭文を語り、父母へ許し
を乞います。そこへ現れたのは義家の命を狙う貞任の弟宗任。宗任から直方を殺すよう
促された萩袖は思い余って自害します。やがて直方は環宮不明の責から切腹、上使の
桂中納言は直方の死を見届けて立ち去ろうとしますが、義家がこれを安倍貞任と見破り
ます。」(以上、公演チラシより引用)

舞台は下手側にしんしんと雪の降る屋敷の外、上手側に屋敷の中と大きく2分割されて
いる。盲目となった袖萩が幼いお君に手を引かれて下手側より登場。
親に逆らい駆け落ちしたことで最後まで許してもらえないまま父親は切腹、萩袖も貞任
の弟宗任から渡された短刀で自害、となんとも救いようのない設定の前半。
萩袖親子が主役のため、主に芝居は舞台の下手側だけで演じられる。通称「萩袖祭文」
と言われるくらい萩袖が雪の中で祭文を弾き語りする場面が見せ場なのだろうが、
今回は萩袖は三味線を弾くだけ。しかし、雀右衛門の切ない語り口で歌われたら
もっと胸に迫るものがあったのではないか、と贅沢な注文がふと浮かんだ。
また、母の浜夕役の中村東蔵が良い味を出していた。


静的な前半に比べ、安部貞任が登場する後半は動的。場面に重厚さが増し、かつ躍動する。
ここは吉右衛門の独壇場で、隙の無い芝居はもちろん声の張りも十分で、
人間国宝・文化功労者となっても枯れた気配は微塵も感じられない現役感たっぷりだった。
いやはや、上手いね。大ファンのかみさんも満足していた。


□「雪暮夜入谷畦道」
 片岡直次郎…尾上菊五郎
 三千歳…中村時蔵
「春がまだ浅い雪の夜の入谷の蕎麦屋。悪事を働き、終われる身の御家人くずれの
直次郎は、恋仲の三千歳を療治する按摩の丈賀に出会います。道中で悪党仲間の丑松
と遭遇、二人は互いの無事を祈り別れますが、丑松は直次郎を訴人することを決意
します。直次郎は三千歳が療養している大口屋の寮へとやってきて、二人は束の間の
逢瀬を楽しみますが、その場へ捕手が踏み込み、直次郎は三千歳を残し、
一人落ち延びていくのでした。」(以上、公演チラシより引用)
 
前2作が復讐譚なら本作は河竹黙阿弥作による世話物。
雪の降る夜に追っ手を避けてなじみの遊女と逃げようか、という一夜の物語。

そば屋では客がそばを食べてセリフを言う。
そばをずずーっとかき込む音が客席に聞こえる。見ると口をもぐもぐしている。
「ありゃ、本物だ!」
客が出て行ってから、花道から菊五郎登場。深い雪を跨ぐように歩いて店内へ。
そして熱燗を一杯やって、注文したそばを、やはりズズーっと食べる。
どうも、この芝居では本物のそばを使うようです(驚)
菊五郎のしっとりした情感の出し方は上手いが、物語としては淡々と終わる。


<蛇足12.31>
①新しい歌舞伎座で意外だったのはクロークが設置されていなかったこと。
不思議に思って職員に尋ねたら、地下にコインロッカーがあるのでそれを利用して
もらいたいとのことだった。随分割り切ってるな、と思ったが、そのコインロッカー
を館内放送等で積極的に案内している様子もなかった。普段コンサートホール通いで
クロークをホールのもてなしのひとつとして利用させてもらっている身としては
歌舞伎座のお客をもてなす思想に何やら物足りなさも感じた。
クローク慣れしている海外からのインバウンドも多いだろうに、不思議。

②休憩中に何人もの客が前々列に座っている老人に挨拶する場面をたびたび目撃した。
「さぞや名のある方なんだろうが、一体どなたなんだろう?」と不思議に思っていた。
思い出そうとしていたら、元経団連会長のI氏ではないかと思い当り、
手元のスマホで検索したら当たりだった。その老人は最後まで鑑賞されていたが、
こういう方にさりげなく出会うというのも東京ならではだね。

③中村吉右衛門の言葉から
「その人の教養というか、経験というか、そういうものが、役者としての人間を
膨らませてくれるのではないかと思います。それを自分の肥やしとできる人は
芸が太っていくでしょう。(略)お客様の多くは、芝居に限らず、優れたものを
ご覧になり、さまざまなことをご存じです。そういう鑑識眼、審美眼のある方たちが
満足できるようなお芝居をお見せしなければならないと考えます。私は、歌舞伎は
芸術だと思っております。高尚なもの、上等なものをお客様にお見せしたい。
それには自分のなかのものを高めることが必要です。そうでないと芝居は高まりません。」
(歌舞伎座HP歌舞伎人より引用)

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by capricciosam | 2017-11-18 07:36 | 舞台 | Comments(0)

新日本フィルハーモニー交響楽団@すみだトリフォニーホール2017

【プログラム】

1 ラフマニノフ 交響詩「死の島」
2 チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番変ロ短調
3 レーガー ベックリンによる4つの音詩

指揮:上岡敏之
ソロ:カティア・ブニアティシヴィリ

すみだトリフォニーホールでは2回目となる新日本フィルハーモニー交響楽団
(以下「新日フィル」という。)演奏会。
指揮者は前回は国外若手による客演だったが、今回は音楽監督の上岡敏之さん。
新日フィルの本来の力を本拠地で聴く機会がやってきた、という感じだった。
日程の都合上、今回もマチネ。現在マチネは<ルビー>というらしい。
(前回聴いた時は「新クラシックの扉」と言ったが、宝石シリーズに統一された。)

しかし、凝ったプログラムだった。
画家ベックリンの描いた「死の島」(欧州の家庭ではよく飾れているらしい。)
にインスピレーションを得て作られたラフマニノフとレーガーの作品を演奏する
という珍しい機会だったが、同じ対象から得られる着想というのは、やはり様々だな、
と改めて思った。絶望や恐怖をも想起させるおどろおどろしい1に比べ、
3の清らかで繊細な調べよ。1は絵の印象をストレートに作品にしたようだし、
3は死して後に天上に昇るかのごとき発想の対比は実に興味深い。
やや金管の乱れが気になったが、上岡監督の指揮の下、新日本フィルも見事に
描き分けていたと思う。しかし、上岡監督の指揮は自在だね。
また、その指揮にピタッと寄り添い演奏する新日フィルのしなやかさは見事だった。
その上、アンコールが驚愕の一曲だった。

ワーグナー 楽劇「神々黄昏」より ジークフリートの葬送行進曲

「これがアンコール?!」上岡さんの新骨頂!
「もっと聞きたい!」と思わせる濃密な響き。
上岡監督で「オール・ワーグナー・プロ」なんてあったら最高だろうね!

2では後日Kitaraでリサイタルを開催するカティア・ブニリシティビリが登場。
力強い打鍵とスピードが印象的で、まるで大馬力のスポーツカーのような勢いの良さ、
アグレッシブさが印象的だったが、ひとつひとつの音が明瞭に聞こえてくる様には
感じなかった。隣席のすみだトリフォニーホールご常連と思われる方と話をしていたら、
「彼女は一音一音というよりフレーズで弾いているようだな」と感想を漏らしていた。
盛大な拍手に応えてアンコールを一曲。

ドビュッシー 「月の光」

こういう選曲なにやら既視感があるが、思い出すのはこの時か。
とかく派手な外見で注目されがちだが、現在注目のピアニストの実力の一端を
楽しませてもらった。

昼公演。3階席だったが、前回より前だったのでホールの響きにも不満はなかった。
やはり、聴く位置で印象は異なるね。

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by capricciosam | 2017-11-17 07:02 | 音楽 | Comments(0)

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団@Kitara2017

【プログラム】

1 メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲ホ短調 (1845年初演)
2 ブルックナー 交響曲第7番ホ長調(ノーヴァク版) (1884年初演)

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
ヴァイオリン:レオニダス・カヴァコス

創立275年という世界最古のオーケストラは、これまでどれくらいの作品の世界初演を
果たしてきたのだろう。今回の日本・台湾ツアーでは次の3プログラムが用意されている。


プログラムA 11/7札幌 11/12東京
       ①メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 
       ②ブルックナー 交響曲第7番

プログラムB 11/9横浜 11/11東京 
       ①ブラームス ヴァイオリン協奏曲
       ②シューベルト 交響曲第7番「グレイト」

プログラムC 11/13東京(NHK音楽祭) 
       ①ブラームス「ドイツ・レクイエム」
 
全てが、このオーケストラが世界初演したというから驚きだ。
どの作品もクラシック音楽の有名曲、定番曲ばかりだから、いかにこのオケが歴史的にも
重要なポジションを占めているかがわかる。
ヘルベルト・ブロムシュテット(以下「ブロムシュテット」という。)さんと
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(以下「GHO」という。)はKitaraでは、
2002年、2005年に公演を行っていたから、今回で3回目の来札公演となるはず
(2005年からは期間が空きすぎて少々自信がない)。

ブルックナー5番を初めて生で聴いたのは2002年のこのコンビによる演奏会で、
豪壮かつ悠然とした音の奔流に圧倒されて聴き終えた時の至福感は何物にも代えがたいと
感じたことが思い出される。一見豪快に指揮をされるように見えるブロムシュテットさん
だが、決して力づくではなく、自然にオケの力を引き出されるような印象をこの時抱いた。
あれから15年を経てこのコンビを再び聴く機会が巡ってきたら、またブルックナーだ。
しかも7番とは、なんという僥倖か。

2では内在する優美さと深い陰影が雄大な奔流となって身を包む感覚に襲われる
作品前半部が最高だが、ブロムシュテットさんはゆったりとした構えながら、
要所を引き締めてGHOの各パートから力を引き出していく。
力みかえったところがない、密度の高い音が心地よい。清潔感すら感じさせる。
老舗ならではの音の厚みと、その伝統に安住せずに常に革新している気配が感じられる。
名誉カペルマイスターとGHOの緊密ぶりが極上のひと時を与えてくれた。
ノーヴァク版だが、打楽器はティンパニのみ。


1では昨年のPMFに出演したレオニダス・カヴァコスがソリストとしてKitaraに再登場。
当時の感想は下記のようなものだが、

>カヴァコスのヴァイオリンは力み返ったところが微塵も感じられないのに、
>実に堂々たる歌いっぷりで正統派の美音そのもの。巨匠の趣。

「正統派の美音」がさらに徹底し、雑味、えぐみのない純水のごとき様には驚いた。
これ程演奏者の余計な情感が入らないまっとうな演奏はそう聴けるものではないと思う。
これに近い印象は2016年のイザベル・ファウストだが、同じ感動でも少し様子が違う。
カヴァコスは、まるで悟りでも開いたかのように自らの気配でも消したかのようだ。
すごく客観的なのだ。それでいて無味乾燥という訳では決してない。
良い意味で期待を裏切ってくれた訳だが、アンコールに

J.S.バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータより
パルティータ第3番よりガヴォット

この曲って、こんなにコケティッシュな感じの曲だっけ?と聴いていて笑みがあふれる。
カヴァコスの別な一面を見た思い。愉快。


当日券も完売し満席。
盛大な拍手とブラヴォーが大ホールを満たし、一般参賀が実現。
とても御年90歳とは思えぬ矍鑠(かくしゃく)ぶりのブロムシュテットさんだが、
さらに驚いたのはカヴァコスとともにサイン会に現れたこと。
感謝を伝えながらも、本当に恐縮してサインを頂いた。

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<蛇足>
2005年の札幌公演は残念ながら聴いていません。
でも、GHO演奏会の翌日にはダニエル・バレンボイム指揮ベルリン・シュターツカペレ
札幌公演がKitaraで開かれていて、偶然ブロムシュテットさんを大ホールで目撃しました。
その時の様子はこちらです。


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by capricciosam | 2017-11-07 23:58 | 音楽 | Comments(0)

【私的整理用】ラドミル・エリシュカ&札幌交響楽団演奏会@Kitara

10月27日と28日の感動的な演奏会が終わっても、
SNSでは依然「エリシュカ余震」が続いている。わかるなぁ~

ところで、10月定期演奏会の配布資料にエリシュカさんと札幌交響楽団の演奏歴が
一覧としてまとめられていたので、これを利用して私的整理をしておきたい。
記録とともに当時の感想をリンクさせておくことにします。

■2006年12月8日&9日 第494回定期演奏会
・スメタナ/交響詩「ボヘミアの森と草原から」
・ドヴォルジャーク/交響詩「金の紡ぎ車」
・R・コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」
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※<伝説>の「シェエラザード」である。
聴き逃したが、ようやく最後の演奏会で聴くことができた。
聴けなかったら一生悶々としていたかもしれない。
特に10月28日の演奏は素晴らしいものだった。ライブ盤発売を期待。

■2008年4月11日&12日 第508回定期演奏会  CD化
・ヤナーチェク/狂詩曲「タラス・ブリーバ」
・モーツァルト/ピアノ協奏曲第24番 ソロ:伊藤恵
・ドヴォルジャーク/交響曲第6番

※ただし、CDではモーツァルトは収録されていない

■2009年4月17日&18日 第518回定期演奏会 CD化
・ヤナーチェク/組曲「利口な女狐の物語」
・モーツァルト/ヴァイオリン協奏曲第3番 ソロ:木嶋真優
・ドヴォルジャーク/交響曲第7番

※ただし、CDではモーツァルトは収録されていない

■2009年10月31日 名曲シリーズ CD化
・スメタナ/連作交響詩「わが祖国」

※エリシュカさんがN響を指揮した同曲の演奏会が、そのシーズンのN響演奏会1位に選出

■2010年4月16日&17日 第528回定期演奏会 CD化
・ドヴォルジャーク/序曲「謝肉祭」
・ヤナーチェク/シンフォニエッタ
・ドヴォルジャーク/交響曲第5番

※ただし、CDでは「謝肉祭」は収録されていない

■2010年11月27日 名曲シリーズ
・スメタナ/「売られた花嫁」から、三つの舞曲
・ムソルグスキー/交響詩「はげ山の一夜」
・R・コルサコフ/スペイン奇想曲
・ドヴォルジャーク/スラブ舞曲集より
・ボロディン/ダッタン人の踊り

■2011年4月22&23日 第538回定期演奏会
・ドヴォルジャーク/スターバト・マーテル

※東日本大震災後に聴くことになろうとは思わなかった
 同曲は後年大阪フィルがエリシュカさんとCD化している

■2011年10月15日 名曲シリーズ
・ドヴォルジャーク/スラブ狂詩曲第3番
・チャイコフスキー/イタリア奇想曲
・リスト/ハンガリー狂詩曲第2番
・シャブリエ/狂詩曲「スペイン」
・エネスコ/ルーマニア狂詩曲第1番

■2012年4月27日&28日 第548回定期演奏会 CD化
・ドヴォルジャーク/スケルツォ・カプリチオーソ
・ドヴォルジャーク/序曲「野鳩」
・ドヴォルジャーク/交響曲第9番「新世界より」

※ただし、CDでは「スケルツォ・カプリチオーソ」は収録されていない

■2012年11月25日 名曲シリーズ
・ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲
・ハイドン/交響曲第88番「V字」
・モーツァルト/交響曲第41番「ジュピター」

■2012年12月8日&9日 札響の第9
・ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱つき」

■2013年4月19日&20日 第558回定期演奏会 CD化
・ドヴォルジャーク/序曲「自然の王国」
・ドヴォルジャーク/交響詩「水の精」
・ドヴォルジャーク/交響曲第8番

※2009年「わが祖国」以来のプログラムを全部収録

■2013年10月5日 名曲シリーズ
・ベートーヴェン/交響曲第6番「田園」
・ドヴォルジャーク/スラブ舞曲集作品46

■2013年10月11日&12日 第563回定期演奏会 CD化
・ドヴォルジャーク/チェロ協奏曲 ソロ:石川祐支
・ブラームス/交響曲第3番

※ブラームス交響曲チクルスがスタート、プログラムは全部収録

■2014年4月11日&12日 第568回定期演奏会 CD化 
・ベルリオーズ/序曲「ローマの謝肉祭」
・ヴォジーシェク/交響曲ニ長調
・チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」

※チャイコフスキー後期交響曲スタート、ただしベルリオーズは収録されていない

■2014年11月8日 名曲シリーズ
・スメタナ/歌劇「売られた花嫁」序曲
・フィビヒ/詩曲
・ヤナーチェク/ラシュスコ舞曲「のこぎり」
・スメタナ/交響詩「モルダウ」
・ドヴォルジャーク/スラブ舞曲集作品72

※チケットを忘れ取りに戻って休憩後しかきけなかった、痛恨の0.5回(泣)

■2014年11月14日&15日 第574回定期演奏会 CD化
・ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
・モーツァルト/交響曲第38番「プラハ」
・ブラームス/交響曲第2番

※ブラームス第2弾、プログラムは全部収録

■2015年6月19日&20日 第578回定期演奏会 CD化
・ベートーヴェン/交響曲第4番
・ブラームス/交響曲第4番

※ブラームス第3弾、プログラムは全部収録

■2015年6月27日 名曲シリーズ
・ロッシーニ/歌劇「ウィリアム・テル」序曲
・リスト/交響詩「レ・プレリュード」
・ドヴォルジャーク/交響曲第9番「新世界より」

※「新世界」の再演となったが、聴いていない

■2016年3月4日&5日 第587回定期演奏会 CD化
・スメタナ/交響詩「シャールカ」
・ドヴォルジャーク/弦楽のためのセレナード
・チャイコフスキー/交響曲第4番

※チャイコフスキー第2弾、ただしスメタナは収録されていない
※3月8日東京公演@サントリーホール、エリシュカ&札響の東京デビュー

■2016年10月14日&15日 第594回定期演奏会 CD化
・スメタナ/交響詩「ワレンシュタインの陣営」
・ドヴォルジャーク/スケルツォ・カプリチオーソ
・チャイコフスキー/交響曲第5番

※チャイコフスキー第3弾、プログラムは全部収録

■2016年10月22日 名曲シリーズ 
・モーツァルト/交響曲第40番
・ドヴォルジャーク/アメリカ組曲
・ストラヴィンスキー/組曲「火の鳥」(1919年版)

■2017年3月10日&11日 第597回定期演奏会 CD化
・メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」
・シューベルト/交響曲第5番
・ブラームス/交響曲第1番

※ブラームス第4弾、プログラムは全部収録
※3月14日東京公演@東京芸術劇場、エリシュカ&札響の東京2回目

■2017年10月27日&28日 第604回定期演奏会
・スメタナ/歌劇「売られた花嫁」序曲
・ドヴォルジャーク/チェコ組曲
・R・コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」

※最後の来日公演となる、28日の一般参賀は空前絶後!

<追記11.3>
エリシュカご夫妻が本日札幌を離れた。いよいよ帰国の途に就かれる訳だ。
チェコまでの長旅を無事終え、健やかにお過ごしいただくことを願っている。
心動かされる得難いひと時を数多く与えていただき感謝の言葉しかない。
一方で、残された身には、エリシュカロスが本格化していく訳だ。
願わくは心の中の大事な思い出をより強固に支えるものとして
CDの追加発売を待つしかないな。あとは記録用をDVDまたはBDで。
最後の演奏会「シェエラザード」は多分大丈夫として、
あとは2013年、2014年の「スラブ舞曲集」を全集として、かな。


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by capricciosam | 2017-10-31 23:21 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第604回定期演奏会@Kitara2017

【プログラム】

1 スメタナ 歌劇「売られた花嫁」序曲
2 ドヴォルジャーク チェコ組曲ニ長調
3 リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」

指揮:ラドミル・エリシュカ
vnソロ:田島高宏

2017-2018シーズンの札幌交響楽団(以下「札響」という。)定期演奏会一覧を
眺めて、エリシュカさんについては「来日は一回に減ったのか、寂しいな。
でも新たにベートーヴェンに取り組まれるんだな。よし、まだお元気だ。
また楽しめるぞ」と、のほほんと構えていた。
ところが、3月帰国されてから体調を崩されて長旅にドクターストップがかかり、
エリシュカさん自身が10月を最後の来日と決断された旨のアナウンスが
札響事務局からあった時の驚きと意気消沈たるや。首席客演指揮者就任時の年齢
から早晩別れがくることは覚悟していたはずなのに、やはり現実化すると
こたえるものだ。

以来、エリシュカさんの来日を一日千秋の思いで待っていたが、無事来日した
との一報の喜びは何にも優る気持ちだった。来日されてからは様子が知りたくて、
大阪フィル定期演奏会、来札、リハーサルと大阪フィル公式、札響公式や
札響ライブラリアンさん等のSNS発信をチェックする日々が続いた。

今回は夜公演、昼公演と2回とも足を運んだが、札響定期としては第488回以来
2回目となる。両公演とも当日券が販売されたものの、いづれもほぼ満席状態
のため、ホワイエはいつもより混雑していたし、Kitaraの演奏会では普段見かけない
顔が随分多かった。本公演がいかに全国的に注目を浴びているかの証なのだろう。


Kitaraでのエリシュカさんと札響の演奏会は2.5回を除きほとんど聴いている。
(0.5回とはチケットを忘れて遅刻し、後半しか聴けなかった時です。トホ。)
しかし、個人的に悔いが残ったのは札響との衝撃的な出会いとなった
2006年定期演奏会を聴き逃したことだ。あの<伝説>の「シェエラザード」だ。
しかし、最後の来日ではエリシュカさんの希望で「シェエラザード」に変更された
ことから、ついにあの<伝説>を聴くことができると、胸ふくらませるばかりだったが、
何故「シェエラザード」に、という疑問は残ったままだった。

これは、入場時に配布された資料にエリシュカさん自身の言葉で次のように記されて、
はじめてプログラム変更の意図を知ることになる。

「この優れたオーケストラである札幌交響楽団との関係は、2006年12月のおとぎ話の
組曲である<シェエラザード>で始まり、2017年10月の<シェエラザード>をご一緒
することで区切りとなるでしょう。」(以上、公演配布資料より引用)

エリシュカさんと札響との数々の音楽的軌跡は一編の物語にも似たものを感じさせるが、
出会いが千一夜物語をベースにした「シェエラザード」だから「おとぎ話」で始まり、
「おとぎ話」で終わる。エリシュカさんは札響との演奏の数々は「おとぎ話」なんですよ、
とでもおっしゃっりたかったのか。
だとしたら、なんて素敵な「おとぎ話」を我々に残してくれたのだろう。

その「シェエラザード」について。
夜公演。各パートの旋律をよく歌わせ、実に丁寧に各楽章を紡いでいき、後半にかけて
劇的に盛り上げていき、静かに物語りは終わる。作品に忠実であることで、
逆に作品についた手垢を洗い落としていく、外連味とは無縁な
いつものエリシュカスタイルが作品に新たな光をあて、新鮮かつ極上。
ついに当時の感動と興奮を追体験できた気分に襲われるが、当時騒がれたことに納得。
ただ、札響の演奏自体にはやや固さが感じられ、緊張して慎重に演奏している気配が
感じられた。これは1、2も同様。

翌日の昼公演でも基本は夜公演と変わらないが、2日目ともなれば余計な緊張がとれた
のか、よりしなやかな演奏に転じており、暖みを感じるようなまろやかさが加わり、
より魅力的に。また2曲終盤でのアンサンブルの完璧さには心底驚いた。
およそこれまでの札響では聴いたことがないレベルだ。
これだけの見事な凝集力は夜公演でも聴かれなかったものだが、
いかに札響の集中力が増していたかの証だと思う。
最後の最後まで感動的な演奏を残してくれたエリシュカさんには感謝以外の言葉が
見つからない。これはライブ盤としてぜひ発売してもらいたい。

エリシュカさんは指揮を終えると両腕を水平に伸ばし、数秒保持して、
腕を一気に脱力させて体側に音がするくらい勢いよく下ろす。
その数秒間の無音で余韻が生まれ、鑑賞者もその余韻を味わうことができる訳だが、
夜公演では録音、録画がされていたにもかかわらず、1や2では、まだ腕を水平に
保持しているうちにフライング気味に拍手が起き、終曲でもこうなのか、と少々憂鬱
だった。しかし、休憩中に「演奏終了後の余韻を待って拍手をしてください」と
繰り返しアナウンスされたことで、フライング気味拍手をされた方も理解された
ようで、3では十分な余韻を保つことができた。
ところが、さらに徹底したのが翌日の昼公演。いくら同じアナウンスがあったとはいえ、
2や3では曲ごとにも十分な余韻が確保され、そのまま終曲を迎えたのには驚いた。
聴衆も演奏会を形づくる大事な要素と考えるなら、昼公演の聴衆は実に完璧に
その役割を果たしたといえよう。

「シェエラザード」が終わり、エリシュカさんが腕を下ろすと、夜公演以上の盛大な
ブラボーと拍手が嵐のように、そう、あれは演奏への惜しみない賞賛と別れを惜しむ
感情が入り交じった客席一人一人の気持ちによってできた「嵐」だった。
嵐はそうそう止まなかったが、エリシュカさんも名残惜しそうにステージそでに
戻ってしまった。しかし、昨夜以上の力強さで拍手が続いたら、夜公演ではなかった
一般参賀がついに実現。見ると、どのブロックにも少なからぬ人が総立ちで拍手を
送っている。相当な人だ。(自分もその一人だが、これを目にして鳥肌が立った。
こんな一般参賀は後にも先にも初めてだ。空前絶後。)

エリシュカさんは両腕を胸の前でクロスさせる、いつもの感謝スタイルに加え、
腕を大きく、大きく振ってくれた。そして時々顔を覆ってしまうが、気力を振り絞って
くれたのだろう、最後は客席に向けて何度も大きく腕を振りながらステージ下手に
消えていかれた。

夜公演は記録用カメラもあったせいか空席がやや目についたものの、満席に近い9割以上。
昼公演はカメラはステージのみとなり、客席は空席もほとんど目立たずほぼ満席。
11月26日(日)14時~NHK-FM(道内)で夜公演が放送予定。

<蛇足>
近頃は少し冷静になってから作成するようにしていたが、
今回ばかりは、余韻が十分残っているうちに作成しなくてはという気持ちがまさる。
音楽ジャーナリストの岩野裕一さんが次のような一文を寄せられていた。

「しかし、エリシュカと札響の物語は、これで終わりではない。
いつの日か札響がチェコに行き、エリシュカのタクトで最高の演奏を披露すること。
あるいはエリシュカが育てたチェコの若い指揮者を札響に招いて、マエストロから
受け取ったものをさらに次の世代へと継承していくこと(略)」
(以上、公演配布資料より引用)

ふたつの提案には共感を覚える。特に、前者。
札響の欧州ツアー(英独伊)は50周年記念の2011年が最後。
エリシュカさんの年齢を考えると残された時間は極めて少ない。
ツアーの経費云々は承知の上で、アジアの一隅で起こった奇跡を
エリシュカさんのチェコで再現できないものか、と思う。

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by capricciosam | 2017-10-27 23:55 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第603回定期演奏会@Kitara2017

【プログラム】

1 スッペ 喜歌劇「ウィーンの朝・昼・晩」序曲
2 グルダ チェロと吹奏楽のための協奏曲
3 ブルックナー 交響曲第1番ハ短調(ウィーン版)

指揮:下野竜也
チェロ:宮田大

久しぶりの下野竜也さん登場だが、いつもどおり凝ったプログラム。

1は軽いのりで流されそうだが、実にシンフォニックな響きで堂々たるもの。
こんな堂々とした作品だったっけ?早くもフラボーが飛ぶ。

1曲目が終わった後の舞台転換は時間がかかるため下野さんがマイクを持って登場。

『覚えていらっしゃいますか?先ほど指揮をしていた者です(笑)。私の演奏会の
テーマは支持率が低いのですが(笑)、今回のテーマは「ウィーン」です。
ウィーンゆかりの作曲家にはJ・シュトラウスはじめ色々いらっしゃいますが、
1曲目のスッペもその一人。2曲目のグルダはウィーン出身なんですが、
ウィーンの伝統に抗った人。チェロの前にマイクがあります、宮田さんはマイクなし
で演奏できる人なんですが、これはグルダの指示によるものです。
そして3曲目はブルックナーです。交響曲第1番は普通リンツ版がよく演奏される
のですが、晩年改訂したウィーン版があって、今日はこれを聴いていただきます。
それでは(ステージの)準備ができたようなので、私も支度をしてきます。』(拍手)

「支度?」一瞬変だなと思ったが、再登場して納得。
下野さん、サングラスをかけて頭にはど派手なはちまきをして現れた(驚)
オケの皆さんも下野さん同様で、サングラス、はちまき、帽子等の小道具を
身にまとっています。傑作はファゴット首席奏者。あのカツラにはだまされた(笑)
トリッキーなグルダ作品は、格好からいくぞ!ということなんでしょう。

2は両端楽章がファンキーでポップなのだが、チェロのカデンツァを配する中間部は
シック。楽器構成も特異なら、曲としても一風変わったティストの作品。
これもグルダの奇才ぶりの現れなのでしょうが、実際に演奏されると、
ソリストの宮田大さんと札響メンバーの名技が炸裂して、おもしろいことこの上なし。
宮田さん、カデンツァでは「鳥の歌」を挿入していましたね。
定期演奏会でこんなに愉快な気持ちになれたのは初めてでした。
この挑戦的選曲は賛否を呼ぶでしょうが、私的には下野さんらしい凝ったプログラム
のお陰で新たな発見をしたと肯定的にとらえたい。
企画を決断した札響にも「ザ・プリンシパルズ」以来のあっぱれをあげたい気分。
下野さんには引き続き定期演奏会への登場を期待したい。

3は所有CDが全て「リンツ版」のため(というより素人のため)版の違いは
わからないが、総体的により装飾的で流麗な印象が残った。
札響でブルックナーを聴いたのは2014年定期演奏会以来だが、札響がますます
充実したブルックナー演奏が可能なオーケストラに変貌しつつあるようで、
これは嬉しいことだ。

昼公演。客入りは7~8割か。

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by capricciosam | 2017-09-23 22:17 | 音楽 | Comments(0)

東京都交響楽団札幌特別公演@Kitara2017

【プログラム】

1 ワーグナー 歌劇「ローエングリン」第3幕への前奏曲
2 シベリウス ヴァイオリン協奏曲ニ短調
3 サン=サーンス 交響曲第3番ハ短調《オルガン付》

指揮:大野和士
ヴァイオリン:パク・ヘユン
オルガン:室住素子

近年、Kitaraで在京オーケストラを聴く機会は限られている。
来札してくれるのはNHK交響楽団と東京都交響楽団(以下、「都響」という。)
で、今回は都響が2年ぶりに札幌特別公演として演奏会を開催してくれた。
これまで都響は4回聴いたが、都響にポストを有する指揮者が振るのを聴くのは
今回が初めて。毎回素晴らしい演奏を聴かせてもらい満足しながら帰路につくため、
大野和士音楽監督登場となれば、期待するなというのは無理というもの。

挨拶がわりの1。毎回都響の金管には魅了される。

2はソロとしての派手さが目立たないだけに深みを感じさせてもらいたいところ。
ソリストの技量は高いのだろうが、可もなく不可もなくで淡々と終わった印象。
大野さんもオケも無難にソリストを支えていた。
拍手に応えてアンコールにちょっと変わった曲を演奏してくれた。初耳。

エルガー 性格的練習曲集Op.24より5番

Kitaraのオルガンを活かすために選曲されたという休憩後の3が素晴らしかった。
大野さんは指揮台も取り払い暗譜。この作品は第2楽章の後半部のオルガンの
壮麗な響きが印象深いため、作品の他の部分でのオルガンの役割をあまり意識せずに
聴いてきたが、第1楽章の後半部のオルガンの繊細さ、美しさとオケの作り出す響き
には魅了された。都響の精緻なアンサンブルが見事に決まり、引き締まった演奏には
会場からも惜しみない拍手が送られていた。名演。

アンコールの前に大野さんから挨拶。
「今日は本当にようこそおいでくださいました。
皆様が無事帰宅することができますように願っています。」
との気遣った言葉が。

アンコールにドヴォルザークのスラブ舞曲第1番
胸のすくような演奏でした。

昼公演。客入りは7~8割か。
今回は台風18号直撃(しかも演奏会開催時間に台風通過!)という最悪のコンディション
だった。しかし、雨はともかく風がそれほどでもなかったので、当日行こうと決めた
方も多かったようで、当日券を求める長蛇の列ができていた。

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by capricciosam | 2017-09-18 20:11 | 音楽 | Comments(0)

アンドレア・バッティストーニ&札幌交響楽団@Kitara2017

【プログラム】

1 ヴェルディ 歌劇「ナブッコ」序曲
2 プッチーニ 歌劇「ジャンニ・スキッキ」より"私のお父さん"
3 プッチーニ 歌劇「修道女アンジェリカ」より"母もなしに"
4 プッチーニ 交響的序曲
5 プッチーニ 歌劇「トスカ」より"歌に生き、恋に生き"
6 プッチーニ 歌劇「蝶々夫人」より"ある晴れた日に"
7 ヴェルディ 歌劇「運命の力」序曲
8 レスピーギ 交響詩「ローマの松」
e ロッシーニ 歌劇「ウィリアム・テル」序曲よりスイス軍の行進

指揮:アンドレアス・バッティストーニ
ソプラノ:木下美穂子

来年10月開場する札幌文化芸術劇場のこけら落とし公演はヴェルディの歌劇「アイーダ」
で、アンドレア・バッティストーニ(以下「バッティストーニ」という。)指揮札響が
ピットに入ることが決定している。両者に加え、当日出演する木下美穂子さんも加わった
特別演奏会がプレ・イベントとして開催された。

驚いたことに、バッティストーニは全曲暗譜。
全身を使い緩急、強弱を自在に付けて指揮するが、生み出される音楽のなんと魅力的で
活き活きとしていることか。基本的にテンポが速いためまるでスポーツカーでドライブ
しているかのような疾走感と躍動感が伝わってくる。
かといって歌心まで置き去りにしている訳ではないから驚く。
札響をドライブして、ここまで爽快感あふれる音を引っ張り出した指揮者はこれまで
体験したことがなかった。今まで聴いたイタリア人指揮者のムーティ、サンティ、
ルイージとはまったくタイプの異なる、異色の存在だろう。
素直な感動と興奮が残った演奏会として語り継がれるのではないか。

当日客演された方が「ヘロヘロ」とつぶやいているのを目にしたが、
札響団員もエネルギー消費が激しかったのではないか。バッティストーニが
首席指揮者を務める東京フィルハーモニー管弦楽団の演奏会はどうなんだろうか、
と俄然興味が湧いた。

また、当日ダブルキャストでアイーダを演じられる予定の木下さんの歌唱も素敵で、
中でもトスカは絶品だった。会場からの拍手が一段と大きくなった。

いやはやものすごい熱量溢れる演奏会だった。
終演後のサイン会は長蛇の列だし、出待ちして一目見ようとする人で黒山のひとだかり。
プレ・イベントは大成功だったのではないか。
「アイーダ」を予習しなくては。

夜公演。チケット完売だけにほぼ満席。

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by capricciosam | 2017-09-15 23:58 | 音楽 | Comments(2)

仙台フィルハーモニー管弦楽団@函館市民会館2017

【プログラム】

1 グリンカ 歌劇《リュスランとリュドミラ》序曲
2 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
3 チャイコフスキー 交響曲第5番

指揮:広上淳一
ピアノ:岡田奏

札幌交響楽団(以下「札響」という。)と距離的に一番近いプロオーケストラは
仙台フィルハーモニー管弦楽団(以下「仙台フィル」という。)だろう。
しかし、距離的には近いが、交通アクセスの利便性によっては必ずしも近いという
感情が沸いてこないものだ。私的には仙台市もそのひとつ。
むしろ仙台より遠方にある東京が圧倒的に近いと感じる。
そんな気持ちもあり仙台フィルは、私的には「近くて遠い存在、いつかは聴きたいが
多分無理かな」と思っていたオケのひとつだった。

今回の来函公演は「北海道新幹線開業1周年記念」という節目で実行された訳だが、
確かに函館圏は新幹線で仙台市と結ばれたから、企画としては「あり」ですね。
ただ、会場が多目的ホールだけに初めて聴く上で少々不安があったが、
そこは指揮者が広上淳一さんとくれば、練達の腕前でなんとかしてくれるだろう
との期待があった。案の定、会場は残響に乏しく、よくブレンドされた音色の響き
としてはあまり望むべくもないことがわかったが、オーケストラ自体は各パートの
バランスもよく、アンサンブルには随所にプロらしいうまさが感じられた。

淡々と終わった1の次に演奏された2が会場を興奮のるつぼと化した。
この熱狂はソリストが地元函館出身という地元びいきだけのものとも思えない。
力強い打鍵で表情豊かに、かつパッション溢れる演奏には惹かれた。
広上さんと仙台フィルもピアノを力強く支え熱い演奏を繰り広げた。
鳴り止まぬ拍手にドビュッシー「月の光」をアンコール。見事なクールダウン。
十代半ばからフランスで研鑽を積んだ成果なのだろう。
豊かな表現力と芯の強さを感じさせる将来楽しみな才能が現れたものだ。
2で暖まった仙台フィルが、休憩後の3ではさらなる熱演を披露し、
大盛り上がりの内に終演となった。

鳴り止まぬ拍手に広上さんがひと言挨拶
「(函館は)25年ぶりです。その頃はもっと髪の毛がありました(笑)
私たちの音楽が皆さんの心の支えになれるようこれからも活動してまいります。
仙台フィルは躍進しているオーケストラです。
これからも仙台フィルをよろしくお願いいたします。」(拍手)
「では、やさしい音楽を。」と言ってアンコール。

グリーグ ホルベアの時代より「サラバンド」

初めて聴く仙台フィルは、東日本大震災で一時的に定期演奏会どころか演奏活動
自体もままならなかったと聞くだけに、今回その実力の片鱗を十分に味わわせて
もらったことを喜びたい。果たして仙台フィル定期演奏会の開かれるホール
ではどんな風に聴こえるのだろう。いつか本拠地のある仙台で定期演奏会を聴き、
その真価を味わいたいものだ。
昼公演。ほぼ満席。

<蛇足>
確か、かなり前に札響と仙台フィルの合同演奏会があったはず(記憶が曖昧、未聴)。
まだ先の話だが、札幌まで延伸される予定の北海道新幹線を使えば
札幌と仙台の往来も今よりスムーズになるのだろう。そうなったら合同演奏会
でなくても、お互いの本拠地に乗り入れて演奏会を開くということも実現可能だよな、
とつい夢想する。

<蛇足2>
この日の夜は「函館バル街」で、これも函館まで足を運ぶ動機のひとつになったことは
否定できない。札響の演奏会に遠征される方も北海道の食を味わうことを楽しみに
遠征されているようだが、旅の楽しみ方としては極めて妥当なことだと思う。
その点、札幌でも食の一大イベントに急成長したオータムフェストが開かれる毎年9月は、
札響も演奏会の企画を凝らして道外ファンの集客にも目配りしても良いのかもしれない。

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by capricciosam | 2017-09-11 23:07 | 音楽 | Comments(0)