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札幌交響楽団第580回定期演奏会@Kitara2015

【プログラム】

1 フンメル 序奏、主題と変奏ヘ長調op.102
2 シューベルト アンダンテ ロ短調D.936A(ローランド・モーゼル編)
3 シューベルト 交響曲第7番ロ短調D.759「未完成」
4 バルトーク 管弦楽のための協奏曲

2015-16シーズンの定期演奏会も興味深いラインナップですが、
中でも9月は注目していた月のひとつ。
著名なオーボエ奏者のハインツ・ホリガー(以下、「ホリガー」という。)さんが指揮者
として登場するというのだ。ホリガーさんが国内の在京オケを指揮されている評判は
耳にしていたが、まさかホリガーさん程の人が、と半信半疑だっただけに、
実際に聴くことができる絶好の機会となったのは喜ばしい限りだった。

1でステージ下手からオーボエを手にして入場する足取りの軽やかなこと。
オケを背にしてオーボエを吹きながらところどころ指揮をする、という「吹き振り」
だったが、最初から安定した音量で朗朗と吹く姿は到底御歳76歳とは思えない。
札響も見事なアンサンブルで応え、これだけでも足を運んだ甲斐があるというもの。

吹き振りは1だけで、2以降は指揮に専念。
2はシューベルトの未完に終わった三楽章形式の交響曲の一楽章を、
現代スイスの作曲家が編曲したものだが、2の終結部で弦楽器の各トップが
かけあいながら演奏が停止した瞬間に続けて3の冒頭の低弦部に入っていった。
あたかも未完成の長い前奏のような位置付けのように思われた。
ホリガーさんはテンポを守った、オーソドックスな指揮で、
3では1楽章から2楽章もほぼアタッカ状態で名曲を仕上げていた。
何やら2と3を一環したひとつの作品として提示されたような思いで受け止めたが、
不思議な余韻が残った。「こういうのもありか~」

4は札響の演奏回数も13回と少ないが、小生も実演は初めてだった。
この作品は「オーケストラの各楽器を独奏者のように扱って、色彩感に富み、
生への肯定に向かう生命力を歌い上げている。」(以上、配布された資料より引用)
とあるように、オケの力量も問われる。ホリガーさんは全身を駆使した、とても
メリハリのある指揮で牽引したが、札響もよくこれに応えて見事な演奏だった。
この曲もCDより実演のほうが数段楽しめる曲だとわかったのは収穫だった。

ホリガーさんの指揮は「名手の余技」という範囲でとどまらない、至極まっとうなもので
オーケストラのドライブも堂に入ったものでした。しかも、楽章間も汗ふきの間も
とることなく、ほとんどアタッカ状態で飄々と指揮をされる姿の若々しいこと!?
また機会があれば、他の作品で聴いてみたいものです。
それから、ホリガーさんは一曲ごとにオケに向かって拍手して健闘を称えるのですが、
終演後は札響の皆さんがホリガーさんに盛大に拍手をして指揮者を称えていました。
こんなにオケから賞賛される指揮者は久しぶりに見ました。

録音されていましたが、放送用でしょうか。
昼公演。客入りは8~9割か。
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by capricciosam | 2015-09-05 22:56 | 音楽 | Comments(0)

ヨーン・ストルゴーズ&NHK交響楽団@Kitara2015

【プログラム】

1 ベートーヴェン 「エグモント」序曲
2 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37
3 ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調作品67「運命」

前回N響を聴いたのは2012年だから3年ぶりとなる。
最初プログラムを見た時は
「なんだ、地方公演向けのオール・ベートーヴェン・プログラムか」
のような、少々がっかり感をともなったものものだった。
しかし、終演後はそんな当初の気分は何処へやらで、
N響の持つポテンシャルにすっかり満足して帰路についた。
音の密度が高いとでも言うのだろうか、力感みなぎるアンサンブルが大ホールに
満ちる様は、例えばPMFオーケストラとは異なるプロとしての矜持の高さを
示されたようで、通俗名曲の新たな発見をして感動したような気分であった。
もちろん、指揮者ヨーン・ストルゴーズさんの解釈も貢献したとは思うものの、
篠崎コンマス以下、オケの力の比重が高かったように思う。
満席の大ホールからの盛大な拍手に応えてアンコールを一曲。

シベリウス アンダンテ・フェスティーボ

ストルゴーズさんはヘルシンキ・フィルの首席指揮者を務めるだけに、
この曲での指揮は水を得た魚状態。素敵な締めくくりでした。

2ではアリス=沙良・オットがソリストとして登場。
3年前、フランクフルト放送交響楽団との来札公演で一度聴いているが、
相変わらず、すごいテクニックだなと感心した。3年前より深化している感じがする。
しかし、打鍵が総体的に弱く、作品への肉薄ぶりがあまり感じられなかった。
またオケも抑制され過ぎていたように思うので、なんとなくこじんまりした印象で、
高水準な演奏ではあるものの、総体としての満足度はもう一歩だった。
鳴りやまぬ拍手に応えてソリスト・アンコールを一曲。

リスト ラ・カンパネラ

彼女の持つ天性の奔放さが見事に現れた思い。圧巻。

3年前は裸足で登場しびっくりさせられたアリスさんだが、
今回は足元が見えないロングドレス姿のため裸足かどうかは判らずじまい。
熱心な追っかけの方によれば、ラメ入りの黒ドレス姿は今回のツアー初日の
東京と札幌のみのようです。また、会場ごとにソリスト・アンコールが異なった
との情報もありますから、引き出しの多い人なんですね。期待しましょう。

今回は東北北海道ツアーとして、8/21東京を皮切りに8/23郡山、8/25青森、
8/26函館、8/28旭川、8/29北見、8/31札幌と同一プログラムで行われた。
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<追記9.4>
記事の一部を修正しました。

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by capricciosam | 2015-08-31 23:57 | 音楽 | Comments(0)

PMF-GALAコンサート@Kitara2015

4回目を迎えたGALA。
Kitaraでの演奏会を、こういう長丁場スタイルで楽しむというのも
ファンの間で定着しつつあるようで、思い思いに装った女性が目立ちます。
やはり、こういう場は男性は女性にかなわない。

第1部は毎度おなじみ天羽明恵さんの司会進行で。
MCが長くなりがちなのはステージでのセッティングに時間がかかるためで、
「つなぐ」という意識を常に強いられるため、大変だろうと思います。

1 デュカス:「ラ・ペリ」のファンファーレ
開場を告げるトランペットによるファンファーレは2回目から定着したスタイルですが、
そのみなさんにより華やかに開幕。

2 オッフェンバック:歌劇「ホフマン物語」からオランピアのアリア
いったんステージそでに退場した天羽さん。お供をつれてぎごちない動きで再登場。
オランピアは19世紀に作られたゼンマイ仕掛けの人形。途中、ゼンマイが切れると
イスに座っていたお供がネジを巻き、再び歌い出すというコミカルな動きと見事な歌唱
を披露。これは楽しい演出でした。思わず昨年の「ナクソス島のアリアドネ」を思い出し、
内心「ツェルビネッタ!」と叫んでいました(笑)
お供はPMF組織委員会の上田文雄理事長(前札幌市長)。小芝居も上手で、さすが
ステージ慣れしてますね。いったんステージからイス等を撤去(時間がかかります)。

3 プーランク:六重奏曲
PMFアメリカにPMFピアニストが登場。2でくつろいだ会場の雰囲気が一気に締まる。
20世紀の作品。多彩な表現が各楽器の異なる色彩で味わう趣がある。
初めて聴いたが、指導陣の達者な演奏で楽しめた。

4 ヴォーカル・アカデミーによるオペラアリア
今年はPMFヴォーカル・アカデミーが設けられており、4名のアカデミー生が登場。
バリトン、メゾ・ソプラノ、テノール、ソプラノの順で歌声を披露。
どんな曲を歌われたのかはパンフレットに記載もなく、天羽さんの口頭での紹介のみ
のため曲名は覚えておらず不明。会場の拍手はテノール、ソプラノにやや多かったか。
指導されたのが、マリオ・デル・モナコが来日初公演した時に相手役を務められた
というガブリエラ・トゥッチさん。相当な経歴をお持ちの方らしいが、もっと時間があれば
(彼らは)もっと良くなるとおっしゃっていたのが印象的。(今回は4~5日程度らしい)

ただ、指揮アカデミーはモーツァルトを一楽章ずつ振ってでもPMFオーケストラと共演
したらしいが、ヴォーカルでは明日のピクニック含めてオーケストラとの共演がない
のが少し不思議。機会をくふうしても良いのでは、との思いが残った。

いったん休憩。(この間ロビーでは天羽さんによるPMF讃歌の練習)

5 モーツァルト:ディヴェルティメント第17番k.334から
コンマスにライナー・キュッヒルさん登場。6-6-4-3-2にホルン2。
たった一人のプロだが、されどプロ。牽引する力量がケタ違いなんだろう。
オーケストラから紡ぎ出される調べのなんたる素敵なことか。
終えてキュッヒルさんがメンバー全員と握手していたのが印象的。
全期間、特に後半はお一人で弦楽器部門の面倒を見ていたのではないかと
推測されるだけに、責任を果たされた感慨もひとしおだったのではないか。

6 ホルスト(田中カレン編/井上頌一詞):PMF讃歌~ジュピター
コンマスはPMF生に変わり、指揮に芸術監督のゲルギエフ登場。
4回目となったが、ブロックによっては起立する人も少ないところもあったようで、
会場の一体感は前回より少し乱れた感じですが、私?ええ、起立しましたとも。
そして歌いましたよ。なんたって、ゲルギエフ指揮で歌えるんですから。

これで第一部を終了したのですが、すでに17時30分。20分の休憩をはさみ
第二部が始まったのは17時50分。パンフレットには【第2部 17:00~】と
記載されているが、約一時間超過。これは昨年同様です。
ステージのセッティングに時間がかかる内容だけに、構成時間の検討が
きちんとなされたのか疑問だが、1時間押しは少し極端。しかも2年続けて。
来年も似たような構成なら、少なくとも第2部の開始時間は、
より現実に近い時間を記載しておくほうが親切ではないかと思う。

第2部からは(今年は記載がないが<プログラムC>の)PMFオーケストラ演奏会。
以下の曲が演奏された。

7 ロツシーニ:歌劇「ウィリアム・テル」序曲
8 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18
9 ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調作品93

7はまとまりは悪いとは思わないが、感興としてはやや乏しい。

8には6月のチャイコフスキー国際コンクールで優勝したドミトリー・マスレエフが登場。
天羽さんもおっしゃっていたが、コンクール後演奏を初めて披露するのがPMFとのこと。
当初予定されていた「皇帝」を変更して望んだロシアものだが、これは素晴らしかった。
若々しく確かな打鍵のせいだろうが、曲の持つリリシズムがリフレッシュされたかの
ごとき思いがした。同年代のマスレエフに刺激されたかのようにPMFオーケストラの音も
ぐっと引き締まり、これも好演だった。ここまでのオケはPMF生のみ。
鳴りやまない拍手にソリストがアンコールを1曲。

チャイコフスキー:18の小品作品72から 踊りの情景(トレパックの誘い)

9はゲルギエフの2004年PMF初登場に続く2回目のショスタコーヴィチ。
彼の個人的葛藤や苦悩が色濃く反映された作品のため、音楽も緊張と弛緩が
極端に現れることで、なお一層ショスタコーヴィチの苦渋を浮き彫りにさせる。
コンマスにライナー・キュッヒルさん、各パートの首席にはPMFアメリカの指導陣。
さらに音の厚みと豊かな表情を獲得したオーケストラをゲルギエフは
自在にコントロールし、圧倒的な熱演を引き出した。ブラボー!
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<追記>
カメラが複数台設置され収録。その周辺を覗いてほぼ満席。
場内アナウンスでは「インターネット配信のための収録」のように言っていたが、
地上波やBSでは放送はなく、ネット配信のみとなるのだろうか。
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by capricciosam | 2015-08-01 22:11 | 音楽 | Comments(0)

モザイク・カルテット第一夜@六花亭札幌本店ふきのとうホール2015

【プログラム】

1 ハイドン 弦楽四重奏曲ヘ長調作品77-2
2 ベートーヴェン 弦楽四重奏曲変ホ長調作品127

演奏会の話の前にチケット購入に至る経過を少し。
毎年7月はPMFがあるので一年でも足繁く演奏会に通う月なのですが、
今年は六花亭が札幌本店新築にあわせ小ホール「ふきのとうホール」を併設し、
7月にほぼ毎日《オープニング・フェスティバル》として室内楽演奏会を
開催するという、ファンにとってはスペシャルな年となりました。
しかも、出演者は渋いラインナップで、どの演奏会も魅力的。
チケットは今年1月9日から全店舗で発売されたのですが、
3月までは新年度の予定が立たないため買いたくても買えず、
たまに店頭で「完売御礼」「残りわずかです」の確認をしては内心焦っていました。
4月になって、ようやく購入できた時は1回分押さえるのがやっと。
しかも、お目当ての候補のひとつだっただけにようやく安堵できたという次第です。

モザイク・カルテットは指揮者ニコラウス・アーノンクールが率いる
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(以下、「CMW」という。)のメンバーや
ソリストから結成されているオリジナル楽器による弦楽四重奏団です。
CMWはアーノンクール指揮で2006年に札幌公演を行っていますが、
これまでKitaraで聴いた演奏会の中でも忘れられないもののひとつです。
(あの時がアーノンクールの来日公演としては最後だったのではないかな。)
カルテットメンバーのうちヴァイオリンのお二人はその時の来日メンバーです。

普段耳にするモダン楽器に比べ、オリジナル楽器の響きというのは
奏法と相俟ってなのか、その素朴さ故に魂をわしづかみされるがごとき
思いが多々あります。作曲された当時の演奏とも言われますが、
なかなか魅力的であることは間違いありません。
今回も第一ヴァイオリンのエーリッヒ・ヘーバルト(CMWのコンマス)さんの
リードのもと緊密にして豊かな音が弛緩することのなく1の冒頭から
続きます。2は曲本来が秘めている内省的な雰囲気を実に的確に表現する
ことに驚嘆していました。見事なアンサンブル。
CMWの時にも思ったのですが、思わず「パーフェクト!」と言いたくなります。

鳴りやまぬ拍手にアンコールを一曲。
曲名は掲示されたのかもしれないのですが、終演後のエレベーターを待つ
ロビーの混雑を避けて階段で下りたため確認できず。

ほぼ満席。チケット完売とはいうものの、空席がチラホラ。う~ん、もったいない。
ホールはよく響きます。twitterで引用したギタリストの福田進一さん(7/15日
公演済み)も「室内楽専用としては最高の音響!」とおっしゃっています。
道内で座席数200席規模で音響の良いホールと言えば、奈井江町文化ホール
ぐらいしか体験(しかも福田進一さんのリサイタルでした)していないのですが、
それに匹敵する小ホールが札幌市内に誕生したことを喜びたい。

<追加>
6階のふきのとうホールに向かおうと1階エレベーター前に立ったら、
「5階で降りてください」との案内板があり、それに従い降りてみると、
坂本直行さんの原画を展示してあるギャラリーを使ってショートケーキ
(3種類)とコーヒーのもてなしが用意されていました。
それもプチケーキではありません。店頭での販売サイズですから、ビックリ。
さすが、六花亭。

休憩も15分と案内があったのですが、結局25分経過。
休憩中は5階に降りなかったので、ひょっとしたらおもてなしは続いたのか、
それともトイレの混雑だったのかは不明です。

座席はゆったりとしており、Kitaraより前列との空間にゆとりがあります。
しかし、ステージの位置がそれほど高くないのと、座席が前列座席と重なるので
長身の人が前に座るとステージは見えにくくなる恐れもありますね。
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<追記7.30>
文意の通じにくいところがあるので加筆修正しました。

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by capricciosam | 2015-07-28 23:18 | 音楽 | Comments(0)

PMFオーケストラ・プログラムB@Kitara2015

【プログラム】

1 ウェーバー 歌劇「オベロン」序曲
2 モーツァルト 交響曲第34番ハ長調 K.338
3 チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調 作品64

PMFオーケストラとしては指導陣がヨーロッパからアメリカに代わって初の公演。
今年のアメリカ指導陣の特徴としては弦楽器各パートの指導者がいないことで、
ヨーロッパとアメリカで会期を半分ずつ分担するようになってからは初めてのこと。
弦楽器だけ指導者不在?と不思議に思っていたら、3で指導陣も登場したら、
なんとコンマス席にはライナー・キュッヒルさんが座るではないか。
8/1のGALAにも登場することは事前にアナウンスされていましたが、
まさかプログラムBで登場するとは想定外で驚きました。
ということは、会期中ずっと札幌に滞在して指導に当たっているということで
これは初めてのことではないでしょうか。
以前、ペーター・シュミードルさんが芸術主幹として会期中滞在されていたような
役割を感じるのですが、にしてもアナウンスされていないのでこの辺は不明。

プログラムAの感想にも記したように、3では指導陣が加わることでオーケストラの
音が厚みとダイナミックさを増し、聴き応え十分です。
有名な第二楽章のホルンソロは指導者が演奏されたのですが、
巨体から繰り出す繊細かつまろやかな音は実に魅力的でした。
しかし、合奏となるとホルンパートだけが全体と溶け合わずに、浮いて響いてくる
ことが度々あり興趣を削いだ。プロAでの見事なアンサンブルはどこに行ったのだろう。
ただ、全体としては好演だった。会場からは盛大な拍手。

1と2はPMF生だけで演奏された。初登場のアンドリス・ポーガさんの指揮のもと
一体となってよいアンサンブルだったが、少し優等生的なまとまりかな。
実演では珍しい2が選択されたのは、2日目に3名の指揮を学ぶアカデミー生が
一楽章ずつ振るからなんですね。(という訳でメヌエットはありません)

1日目公演。客入りは7~8割か。
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by capricciosam | 2015-07-25 22:47 | 音楽 | Comments(0)

PMFオーケストラ・プログラムA@Kitara2015

【プログラム】

1 メンデルスゾーン 「真夏の夜の夢」組曲作品61
2 マーラー さすらう若人の歌
3 ドヴォルザーク 交響曲第7番ニ短調作品70

今年は23ヶ国78名が参加したPMFオーケストラ。
初披露となるプログラムAの指揮はデイヴッット・ジンマンから準・メルクルさんに
変更となった。メルクルさんは2005年、2008年、2013年に登場しているが、
2005年はあいにく未聴だが、2008年のメシアンは衝撃的で、
その手腕の確かさを実感する上では忘れられない演奏会だった。
今回もプログラムは変更なしで、どのように混成オケをまとめあげるのだろう、
と注目していたが、それはPMF生だけで演奏された1だけでも十分だった。
冒頭の「序曲」の幻想的雰囲気の描写から、実にうまく仕上がっていることが
感じられた。もちろん、楽器によってはまだ素っ気なく響くところもあるが、
アンサンブルの精度としては十分な水準にあると思われた。
ただ、会場で配られたパンフレットには劇音楽中のどの曲が組曲として使われたか、
の記載が一切なく、組曲が終わりきらないうちに2回ほど拍手が起きる事故があり、
やや興趣を削いだのは惜しかった。録音していたようだが、実にもったいない。
英語表記で曲名がわかるように記載しておくだけでも、ある程度未然に防げた
だろうと思うだけに、組織委員会側の配慮がもう少しほしかった。

続く2のソロはテノールの松原友さん。通常耳にするバリトンではないが、
失恋した若者の揺れる心情を澄み切った声で切々と歌われるのも新鮮だった。
オケのアンサンブルは1に比べるとやや粗く感じられた。

休憩後の3では各パートの首席にウィーン・フィル、ベルリン・フィルの指導陣が
陣取る豪華さ。オケの音が一層引き締まりって豊かになり、臨時編成オケとは
到底思えぬ音が炸裂する。まるでヴィルトゥオーゾ・オーケストラの趣。
メルクルさんもアクセルをさらに踏み込んだかのごとく、指揮台と全身をフルに使う
エネルギッシュな指揮でぐいぐいオケを牽引する。
エリシュカ&札響とは対局の響きとは思うものの、これはこれで圧倒される。
会場からは盛大な拍手が起きた。

2日目公演。客入りは6~7割かな、空席が目立った。
指揮者変更が原因でキャンセルが多くあったのかもしれないが、
だとしたら、聴き逃したのは実にもったいなかった。
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by capricciosam | 2015-07-19 21:18 | 音楽 | Comments(0)

PMFウィーン演奏会@Kitara2015

【プログラム】

1 ハイドン 弦楽四重奏曲変ホ長調作品9-2
2 シューベルト 弦楽四重奏曲第13番作品29 D.804「ロザムンデ」
3 ドヴォルザーク 弦楽五重奏曲第2番ト長調作品77

PMFが始まって以来、指導陣としてPMFを支えてきたのがウィーン・フィルの皆さん。
今回もコンマスのライナー・キュッヒルさんはじめ弦楽器奏者が参加してくれていますが、
チェロのフリッツ・ドレシャルさんは健康上の理由で辞退され、急遽息子の
ラファエル・ドレシャルさん(ウィーン放送響)が代役として参加されました。

以前聴いた時にも書いたのですが、このアンサンブルはキュッヒルさんが
力強く牽引するため、各メンバーの音の溶け合い具合が1強3弱的な印象が
あるのですが、それにしても艶やかな響きは魅力的。

最初にハイドンの作品を取り上げるのは近年のPMFウィーンでは定番。
2に漂うほの暗い叙情的な雰囲気を緊密なアンサンブルで聴かせます。
しかし、すごかったのはコントラバスが加わった3。
初めて聴きましたが、まるで舞曲のようなリズムが強調された調べに、
土俗的雰囲気が横溢するのですが、キュッヒルさんがグイグイと牽引する
大熱演にホールから盛大な拍手が送られました。

アンコールはボッケリーニの「メヌエット」でやさしくクールダウン。
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by capricciosam | 2015-07-17 18:40 | 音楽 | Comments(0)

PMFベルリン演奏会@Kitara2015

【プログラム】

1 コレッリ(J.ディヴィス編曲):教会ソナタ作品3第7番
2 ダンツィ:木管五重奏曲変ロ長調作品56-1
3 モーツァルト(ヴェント編曲):「魔笛」からの抜粋による
               フルートとオーボエのための二重奏曲
4 マクリーン:ストーリーヴィルの情景
<休憩>
5 ラヴェル(メイソン・ジョーンズ編曲):クープランの墓(木管五重奏版)
6 クルークハルト:木管五重奏曲作品79

昨年はベルリン・フィル・ブラス・アンサンブルがPMFに登場し、
大いに楽しませてもらいました
。今夏はPMF開始直前に日本・中国ツアーを
行っていたようですが、アンサンブルとしてのPMF参加はないのが少し残念。
それでも、その中からトランペット首席のタマーシュ・ヴェレンツェイさん①と
ホルンのサラ・ウィリスさん②、トロンボーンのイェスパー・ブスク・ソレンセンさん③
の3名が昨夏に引き続き指導陣として参加しています。
それに、フルート首席のアンドレアス・ブラウさん④、オーボエ首席の
アルブレヒト・マイヤーさん⑤、クラリネットのアレクサンダー・バーダーさん⑥が
加わるという、ベルリン・フィル管楽器パート首席が3名も揃う豪華さ。
これにファゴットのベンツェ・ボガーニさん⑦(前ミュンヘン・フィル首席、元PMF生)が
加わりますから、これは期待するな、という方が無理というものです。

普段ブラス・アンサンブルは聴かないのですが、小ホールに響くブレンドされた
音色に耳を傾けているうちにあっという間に時間は経ってしまいました。
臨時編成とは思えないアンサンブルのうまさ。

今回のプログラムでは金管と木管で分かれて演奏されていました。
①③のお二人は2曲のみで、ほとんどが木管アンサンブルの演奏でした。
全員の合奏がなかったのは残念でしたね。
全曲演奏したのは②のサラ・ウィリスさんだけですが、彼女のステキな笑顔が
ステージや演奏会そのものを明るく華やかに楽しませてくれたように感じました。
しかし、彼女はパワフルですね。
また2階には相当なPMF生が陣取り、さかんに拍手や声援を送っていましたが、
これがさらに活気づけたのかもしれません。
演奏者の組み合わせは下記のとおりです。

1~①②③
2~②④⑤⑥⑦
3~④⑤‥‥耳なじみのあるメロディを名人芸で演奏されるので会場からも盛大な拍手
MC「ありがとうございます。みなさん、楽しんでますか?」とサラ・ウィリスさんが
日本語で問いかけます。会場からは大きな拍手で応えます。
「スペシャル・ゲストです」と言って登場したのが打楽器パートのPMF生が一人登場。
4~①②③+PMF生
<休憩>
5~②④⑤⑥⑦
6~②④⑤⑥⑦‥ステージ上に虫が飛んでいたらしく、開始直前アルブレヒト・マイヤー
さんが「おっ、虫!」と言って手ではらう仕草を。

鳴りやまない拍手に応えてアンコールが2曲演奏されましたが、期待していた
「ベルリンの風」ではなく、なんとラテンの名曲が2曲演奏されました。
7 ロドリゲス:ラ・クンパルシータ~②④⑤⑥⑦
MCはアルブレヒト・マイヤーさん。「ありがとうございます。Kitara(小)ホールは
最高です。アンコールはシュトックハウゼン?」と、茶目っ気たっぷりに会場に問いかけ(笑)
「アンコールはティコティコ。スペシャル・ゲストです。」と言って登場したのが打楽器
パートのPMF生全員3名と、なんと打楽器元首席のライナー・ゼーガスさん。
8 アブレウ:ティコティコ~②④⑤⑥⑦+PMF生+ライナー・ゼーガスさん

昨夏の完璧さも良かったのですが、PMF生も交えた今回のようなくつろいだ演出も
また楽しいものです。全席完売とのことでしたが、当日券も若干販売されたようです。  
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by capricciosam | 2015-07-15 22:38 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第579回定期演奏会@Kitara2015

【プログラム】

1 シューマン 交響曲第4番ニ長調
2 メンデルスゾーン 交響曲第2番変ロ長調「讃歌」‥札響初演

マックス・ポンマーさんが札響と初共演したのは2013年11月定期演奏会で
その時取り上げた交響曲はシューマンの2番。あいにく聴いていないのですが、
オケに大層好評だったそうで、これが縁で首席指揮者就任に至ったようです。

そして今回はシューマンの4番を取り上げたという訳ですが、シューマンを連続して
取り上げるのは「ライプチッヒ」がキーワードとなるようです。

「私はライプツィヒに生まれ、ライプツィヒに育った(略)バッハ、シューマン、
メンデルスゾーンといった大作曲家がライプツィヒに暮らし、彼らの住居も
そこに現存しています。」(以上、演奏会パンフレットより引用)

大柄な身体から繰り出す指揮ぶりは決して派手ではないが、かといって地味で
退屈だというのでもない。指揮棒から紡ぎだす音楽は至極まっとうです。
きちんと要所を締めて演奏を高めていく確かな手腕を感じました。
その点では安心して聴けたのですが、だからといってグッと惹かれたという訳でも
ありませんでした。小生の中では可もなく不可もなくという感じです。
(シューマンの交響曲の中では一番よく聴くので辛めになりました。)

しかし、2では開始早々の第1部シンフォニアの熱さに、リラックスしていた
身体を起こしてしまい、とうとう第2部の最後まで身じろぎもせずに聴いて
しまいました。1を経たのでこれは想定外。感動もひとしおでした。
まず、メンデルスゾーンの5つの交響曲でも声楽付きの長大なこの曲は、
はじめて聴いたのですが、メンデルスゾーンらしい旋律が断片的に現れ、
耳になじみやすいという側面ももちろんあります。
そして、札響もトロンボーン等の金管楽器はじめ全セクションが健闘していた
ことも間違いありません。しかし、何よりも驚いたのは札響合唱団と独唱陣。
特に合唱団は相当な練習量と質を確保したのではないかと思われる良い出来映え。
拍手もひときわ大きかったように感じました。
また3名の北海道ゆかりのソリストも粒揃いで申し分なし。記して敬意を表したい。

ソプラノ 針生美智子
ソプラノ 安藤赴美子
テノール 櫻田亮

そして何よりもこれらをまとめ上げたポンマーさんの手腕の見事なこと。
この曲で改めて、ポンマーさんの実力の一端を知らされた思いです。
「讃歌」は札響側からの提案だったとポンマーさんがパンフレットに書かれていますが、
これはナイスな企画でした。札響にもアッパレをあげたい気分です。

首席指揮者就任記念演奏会も無事終わり、これから3年間で札響をより良い方向へ
発展させていってもらいたいのですが、エリシュカさんに加え、ポンマーさんという
聴く楽しみが札響に増えたのは何よりです。
今回は録音されてCD化されるので、ひょっとしたらメンデルスゾーン作品も継続して
取り上げるのかなという淡い期待もあるのですが、エリシュカさんが一連の
ドヴォルジャーク作品を取り上げて録音したような企画が
ポンマーさんにもあることを期待したいと思います。

昼公演。8~9割の入りか。
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by capricciosam | 2015-07-11 19:41 | 音楽 | Comments(0)

神保彰ワンマンオーケストラ@栗山カルチャープラザEki2015

【セットリスト】

 1 ツァラトゥストラはかく語り
 2 インディー・ジョーンズのマーチ
 3 不明
<神保彰のルーツを探るメドレー>
 4 はげ山の一夜
 5 スイートドリーム ~スタッフの曲
 6 September
 7 マシュケナダ
 8 恋のフーガ ~ザ・ピーナツの名曲
 9 スモーク・オン・ザ・ウォーター
10 スペイン ~チック・コリアの名曲
<解説コーナー>
11 星に願いを ~5段階でオーケストラに変化していく 
<休憩>
12 マンボ ~客席も参加して「マンボ!」、「ジンボ!」(笑)
13 ゴジラ
14 ジュラシックパーク
15 スターウォーズ
16 メドレー~CASIOPEA時代の神保さんの作曲した作品を5曲
17 Asayake
18 ミッション・インポッシブル
<アンコール>
19  パイレーツ・オブ・カリビアン

2007年に雑誌「ニューズウィーク」の特集「世界が尊敬する日本人100人」に
選出されたことで神保彰さんの名前を初めて知ったのですが、縁がないままでした。
その後、「ワンマンオーケストラ」というドラムソロのライブを全国津々浦々で
やられていることがわかり、ぜひ一度聴いてみたいものだと思っていました。
今年も全国行脚として6/16の室蘭を皮切りに道内各地でも公演があった訳ですが、
調べてみると札幌及び近郊では小樽、栗山のみ。中でも栗山の料金設定が破格!
札幌から少々遠いのと、仕事の都合がつけばなんとかなると考え、決めました。
チケットは電話予約しましたが、町外からの問い合わせが多いとのことでした。

会場は多目的ホール(定員248人)ですが、当日はホール真ん中にドラムセットが
置かれ、四方を客席が取り囲む形をとっていましたが、ライブとしてはうってつけ。
間近で神保さんのテクニックを見ることができるため迫力も十分。
ドラムを叩いているだけなのに、シンセサイザーによると思われる多様な音が
途切れることなく流れて見事なサウンドとして味わうことができる不思議さに
目を丸くしてしまいました。解説コーナーで神保さんによる説明があったのですが、
叩いても直接音が出ずに一定の音が順番に流れるセンサーがあり、
ステックで叩いて全体のメロディーを形作っているそうです。
しかし、種明かしをされても驚きは全然変わりません。
「ヴァーチャル千手観音」なんてのもあって、神保さんの驚異的なテクニックには
感動しました。

それから、<神保彰のルーツを探るメドレー>でドラムに取り組むきっかけが
ボブ・ジェームスの「はげ山の一夜」のかっこいいドラム(スティーブ・ガット)だった、
という話には内心驚きました。小生も一時フュージョンが好きだったのですが、
初めて買ったフュージョンのLPがボブ・ジェームスの名盤「ONE」でした。
しかも、その代表曲「はげ山の一夜」がきっかけとはね。親しみがわきます。
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by capricciosam | 2015-06-26 23:52 | 音楽 | Comments(0)