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札幌交響楽団第587回定期演奏会@Kitara2016

【プログラム】

1 スメタナ シャールカ~連作交響詩「我が祖国」より
2 ドヴォルジャーク 弦楽セレナード ホ長調
3 チャイコフスキー 交響曲第4番 ヘ短調

今シーズンの掉尾を飾る今回はエリシュカさんによるオールスラブプロ。
注目していたプロです。

1は首席客演指揮者に就任して2年目の2009年名曲Vol.2で取り上げた「我が祖国」の
一部だけに悪かろうはずがない。(当日も「シャールカ」から札響の演奏も乗ってきた
感があった。当時の感想はこちらです。)事実、物語の内容はさておき、序曲的役割を
果たしたこの選曲は良かった。もう一度「我が祖国」全曲を聴きたくなりました。

2は2013年の名曲Vol.3のアンコールで第一楽章だけが演奏されて以来、ぜひ全曲を
聴きたいものだと熱望していたので、短期間で実現したのは望外の喜び。
近年充実している札響の弦楽パートが透明感のある音色で一貫してこの名曲を演奏。
途中第3楽章を終えたところで拍手がパラパラと起きたがエリシュカさんが制止。

3はエリシュカ&札響のチャイコフスキー後期交響曲シリーズの第2弾で、2014年4月
定期演奏会以来となる。第一弾の「悲愴」も良かったので期待は高かったが、
期待以上の演奏に終演後はしばらく座席を立てなかった。
第一楽章の冒頭の金管の音の強さは、これまでKitaraで聴いたオケの中でも最強の類で、
札響の金管からここまで力を引き出すエリシュカさんに驚きっぱなし。
(帰宅してから所有するCDで比較してみたくなり、「爆演」として名高い
スヴェトラーノフ&USSRの東京ライブ盤も聴いたのですが、この部分だけは
スヴェトラーノフ盤の方が余程マイルドに聞えました。)
しかし、強奏一本槍ではなく、きちんとした骨格を作りつつ、カンタービレを横溢
させる手腕の見事なのがエリシュカさん。第二楽章(オーボエ首席金子さんのラストソロ)
の物憂さ、第三楽章のピチカートによる軽快さ、第四楽章の喧噪の中迎えるフィナーレ。
札響も全パート一体となって燃え上がる高い燃焼度を示していました。
いやはや、まいりました。このコンビによる演奏でも特筆すべきものです。名演。

指揮ぶりも相変わらずメリハリのついたもので高齢による弛緩なんて無縁。
来月には85歳を迎えるとは到底思えないエリシュカさんだけに、10月、来年3月の
一連のチャイコフスキーとブラームスの演奏完結に期待は高まるばかりだ。

また、エリシュカさんは腕を横に上げた状態で演奏を終えると数秒ホールドしてから
腕をさっと下げて弛緩する。その間の無音の余韻を楽しみたいところですが、
相変わらずホールド状態で拍手が起きてしまい、ちょいと残念。
拍手をするタイミングとしては指揮者が腕を下ろしきってからにしたいところです。

昼公演。
当日券も発売されたのですが、ほとんど空席が目立たず9~9.5割の入か。
CD用だと思うのですが、録音されていました。
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by capricciosam | 2016-03-06 10:48 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第585回定期演奏会@Kitara2016

【プログラム】
1 ラヴェル 組曲「マ・メール・ロワ」
2 メンデスゾーン ヴァイオリン協奏曲ホ短調
3 ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編).

指揮者のマティアス・バーメルト(以下「バーメルト」という。)は2014年1月定期に
登場(残念ながら未聴)し、再演の要望が強かったとのことで、今回2度目の登場と
なったらしい。1曲目からメリハリはつけながらも、総じて淡々と指揮しているように
見える様はまるで「職人の親方」のようで、確信に満ちてオケをドライブしている。

1曲目は子供のためのピアノ連弾曲の管弦楽版なので、おとぎ話的な不思議な音世界が
出現するのだが、バーメルトの手にかかると札響から実に繊細にしてきらびやかな
響きを紡ぎ出していく。そのため大ホールの空間に音が浮遊しているような錯覚に
襲われた。より色彩感の増す3曲目でもバーメルトの指揮ぶりに変化は見られない。
淡々とではあるが、手綱を緩めることなく着実にオケを高みに引き連れていき、
見事なクライマックスを形成するいぶし銀の手腕には感心した。
こういう力み返った音の感じられない、洒脱な音を引き出す指揮者は初めてだった。
また、以前の記事にも書いたように記憶しているのだが、
現在の札響はフランス作品に優れた適性を有するように感じる。

2曲目のイザベル・ファウストは2015-16シーズンの大注目ソリスト。
これだけの大物をよく呼んでくれたと、札響にアッパレをあげたい気分(笑)
とは言え、選曲がロマンティックな曲故、頭の中は疑問符だらけだった。
しかし、曲が始まってみるとソロがオケを制圧する訳でもなく、かといって
ソロがオケの音に埋没する訳でもなく、繊細にして精緻な音色の連続で、
極めて上質な織物でも織り上げていくような気分に襲われた。
こういう模範的でありながら感動させるメンコンは聴いた記憶がない。
聴衆のみならずオケからも盛大な拍手が送られ、アンコールを一曲。

J・S・バッハ 無伴奏パルティータ第2番よりサラバンド

絶品。お目当て的にはこちらだっただけに大満足。

昼公演。空席はチラホラ見られたものの9割以上の客入か。
姉妹都市オーケストラ交流の一環で韓国テジョン・フィルの
ピル・キュン・ポール・キムさんがゲストコンマス。
コンマス横に大平さん、後ろに田島さんと豪華布陣。
併せて、佐藤俊太郎さん、垣内悠希さんが今年4月から指揮者就任と発表される。
これも楽しみな情報です。
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by capricciosam | 2016-01-23 23:46 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第584回定期演奏会@Kitara2015

【プログラム】

1 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番ト長調
2 ブルックナー 交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(ハース版)

マックス・ポンマーさん首席指揮者就任後2回目の定期演奏会も独墺系プログラム。
同じ系統としても前回がライプツィヒ・プロとすれば、今回はウィーン・プロか。

1はソリストの独奏から始まり、その独奏が曲全体の雰囲気を暗示する。
ソリストのゲルハルト・オピッツさんは、ゆったりとしたテンポを保ちつつ、
大人(たいじん)のごとき雰囲気を湛えながら弾き進めていく。
その情感溢れ、安らぎに満ちた響きのなんという心地の良さよ。ベテランの味わい。
ボンマーさんも札響をうまく統率して、ソリストの作る雰囲気を壊さないため、
情感豊かな音楽が大ホールを満たしていく。
札響がこの曲を取り上げた前回の2007年定期演奏会では小菅優さんがソリストを
努めていたが、この時も達者な演奏に満足していたのですが、今回は異なった次元
での満足感で満たされました。鳴りやまぬ拍手に応えてソリストがアンコールを1曲。

ブラームス 6つの小品 作品118-2 間奏曲

これは絶品だった。オピッツさんはソロリサイタルで聴きたい方だな。

2では弦楽器が弦楽パート中心に増員されました。
ポンマーさんはゆったりとした指揮に時折こまかなニュアンスを加えながら、
ブルックナー特有の重層的響きを連ねていきます。テンポを乱すことなく、
楽章を進めるのが、あたかも一歩一歩高い極みを目指すがごとき感じです。
ブルックナーでは弦楽パートの作る厚みに、管楽器の充実もないとつまらない
のですが、ホルンはじめ札響はよく締まった演奏で応えていたと思います。
あっさりとした味わいながら清々しささえも感じさせる秀演だった。

昼公演。8~9割の客入か。CD化を目指した録音がされていたようですが、
演奏中にハンカチ等で口を押さえずに咳をしたと思われる人や、音楽が鳴り
やんだものの指揮者が腕を下ろしきらないうちのフライング拍手などがあり、
編集でなんとかするのでしょうが、少々残念でした。
特に2は大盛り上がりで終わるだけに、余韻を楽しみたかったなぁ、、、

それから、7月定期演奏会のライブ録音されたCDが先行発売されていましたが、
今回含め公開されている来シーズンの定期演奏会プログラムからみて
エリシュカさんとは異なるスタイルでの録音がされるようですね。
一連のメンデルスゾーン作品を期待したのですが、まぁこれはこれで楽しみです。
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by capricciosam | 2015-12-12 23:56 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第583回定期演奏会@Kitara2015

【プログラム】

1 ベートーヴェン バレエ「プロメテウスの創造物」序曲
2 モーツァルト ピアノ協奏曲第25番ハ長調
3 ショスタコーヴィチ 交響曲第10番ホ短調

今シーズンの札響定期演奏会を眺めていたら、優れた演奏家が指揮をする
企画に目が止まった。9月のカール・ハインツ・ホリガーさんと、
今月のウラディミール・アシュケナージさんである。
オーボエ、ピアノの分野で各々歴史に名を刻まれることは間違いなしの
第一人者であるが、近年指揮活動も活発にされているだけに注目していた。
すでに終えた9月のホリガーさんの感想はこちらです。

アシュケナージさんと札響との共演は1970年以来とのことですが、これは未聴。
kitaraでは2001年、2004年に指揮者として来演して以来とのこと。これも未聴。
(以上、配布された資料による。)
小生としては1992年北海道厚生年金会館でのピアノリサイタル以来だから、
実演に接するのは20年ぶり以上。その間TVでもっぱら○響の音楽監督としての
指揮者としての活動を見ていたにすぎないのだが、正直言って
なんとも大雑把に見える指揮で、よく○響は演奏できるな~、と素人考えで
あっけにとられていた。

そんな指揮ぶりをいよいよ目の当たりにできる訳だが、
1では確かに「TVで見るそのままだー」的なミーハー的驚きはあったものの、
すぐに音楽に耳を傾けることに気持ちを切り替えていた。
1,2ともに指揮者としての個性は特段感じられず、一言で言えば「無難」。
取り立てて心揺さぶられることもなく、淡々と過ぎ去っていった感じで終わった。

しかし、ドラマは最後の3にあった。
今年2回目で、夏のゲルギエフ&PMFオーケストラの熱演が記憶に久しいだけに、
聴く側のハードルはやや高くなる。この作品はショスタコーヴィチ自身が
言ったと言われる「人間の感情と情熱を描いた」と評される暗く、重々しく、
厳しい側面を有するが、第一楽章冒頭から札響各パートが凄い集中力で演奏を
展開していき、しかも途切れることなく最後まで持続したのには少々驚いた。

もちろん、いままで聴いた定期演奏会でもこれ以上の力を傾注をしていたのだ
とは思うのだが、なにしろ演奏される場の孕む緊張感が、
「これまでこんなのあったかー!?」的な驚きの連続で、
こんな演奏にはそうそう出会えないんじゃないか、という驚きが先に立った。
札響各パートは持てる力を発揮することになんら躊躇することなく、
アシュケナージさんの指揮に即応して力量の限りを示していたと
断言しても過言ではないだろう。プロとしての矜持の高さとでも言うべきか。
これほどの凝集度の高い演奏というのは、なかなか出くわすことは難しい。
「一期一会」なる言葉が脳裏に浮かんで仕方なかった。名演。

ソリストの河村尚子さんについては、この方が将来について
どのようなベクトルをお持ちなのか?その点を感じられないまま終わった感が強い。
かといって、演奏がつまらなかった訳ではない。
むしろ、活き活きと演奏されたように感じられる部分も少なからずあったのだが、
果たして彼女の指向性はモーツァルトなのか? 他の作品でも聴いてみたいものだ。
ソリストアンコールは

4 J・S・バッハ(ペトリ編曲) 羊は安らかに草を食む

昼公演。8~9割の客入か。録音されていた。

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<追記11.30>記事の一部について加筆、修正しました。


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by capricciosam | 2015-11-28 22:05 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第580回定期演奏会@Kitara2015

【プログラム】

1 フンメル 序奏、主題と変奏ヘ長調op.102
2 シューベルト アンダンテ ロ短調D.936A(ローランド・モーゼル編)
3 シューベルト 交響曲第7番ロ短調D.759「未完成」
4 バルトーク 管弦楽のための協奏曲

2015-16シーズンの定期演奏会も興味深いラインナップですが、
中でも9月は注目していた月のひとつ。
著名なオーボエ奏者のハインツ・ホリガー(以下、「ホリガー」という。)さんが指揮者
として登場するというのだ。ホリガーさんが国内の在京オケを指揮されている評判は
耳にしていたが、まさかホリガーさん程の人が、と半信半疑だっただけに、
実際に聴くことができる絶好の機会となったのは喜ばしい限りだった。

1でステージ下手からオーボエを手にして入場する足取りの軽やかなこと。
オケを背にしてオーボエを吹きながらところどころ指揮をする、という「吹き振り」
だったが、最初から安定した音量で朗朗と吹く姿は到底御歳76歳とは思えない。
札響も見事なアンサンブルで応え、これだけでも足を運んだ甲斐があるというもの。

吹き振りは1だけで、2以降は指揮に専念。
2はシューベルトの未完に終わった三楽章形式の交響曲の一楽章を、
現代スイスの作曲家が編曲したものだが、2の終結部で弦楽器の各トップが
かけあいながら演奏が停止した瞬間に続けて3の冒頭の低弦部に入っていった。
あたかも未完成の長い前奏のような位置付けのように思われた。
ホリガーさんはテンポを守った、オーソドックスな指揮で、
3では1楽章から2楽章もほぼアタッカ状態で名曲を仕上げていた。
何やら2と3を一環したひとつの作品として提示されたような思いで受け止めたが、
不思議な余韻が残った。「こういうのもありか~」

4は札響の演奏回数も13回と少ないが、小生も実演は初めてだった。
この作品は「オーケストラの各楽器を独奏者のように扱って、色彩感に富み、
生への肯定に向かう生命力を歌い上げている。」(以上、配布された資料より引用)
とあるように、オケの力量も問われる。ホリガーさんは全身を駆使した、とても
メリハリのある指揮で牽引したが、札響もよくこれに応えて見事な演奏だった。
この曲もCDより実演のほうが数段楽しめる曲だとわかったのは収穫だった。

ホリガーさんの指揮は「名手の余技」という範囲でとどまらない、至極まっとうなもので
オーケストラのドライブも堂に入ったものでした。しかも、楽章間も汗ふきの間も
とることなく、ほとんどアタッカ状態で飄々と指揮をされる姿の若々しいこと!?
また機会があれば、他の作品で聴いてみたいものです。
それから、ホリガーさんは一曲ごとにオケに向かって拍手して健闘を称えるのですが、
終演後は札響の皆さんがホリガーさんに盛大に拍手をして指揮者を称えていました。
こんなにオケから賞賛される指揮者は久しぶりに見ました。

録音されていましたが、放送用でしょうか。
昼公演。客入りは8~9割か。
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by capricciosam | 2015-09-05 22:56 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第579回定期演奏会@Kitara2015

【プログラム】

1 シューマン 交響曲第4番ニ長調
2 メンデルスゾーン 交響曲第2番変ロ長調「讃歌」‥札響初演

マックス・ポンマーさんが札響と初共演したのは2013年11月定期演奏会で
その時取り上げた交響曲はシューマンの2番。あいにく聴いていないのですが、
オケに大層好評だったそうで、これが縁で首席指揮者就任に至ったようです。

そして今回はシューマンの4番を取り上げたという訳ですが、シューマンを連続して
取り上げるのは「ライプチッヒ」がキーワードとなるようです。

「私はライプツィヒに生まれ、ライプツィヒに育った(略)バッハ、シューマン、
メンデルスゾーンといった大作曲家がライプツィヒに暮らし、彼らの住居も
そこに現存しています。」(以上、演奏会パンフレットより引用)

大柄な身体から繰り出す指揮ぶりは決して派手ではないが、かといって地味で
退屈だというのでもない。指揮棒から紡ぎだす音楽は至極まっとうです。
きちんと要所を締めて演奏を高めていく確かな手腕を感じました。
その点では安心して聴けたのですが、だからといってグッと惹かれたという訳でも
ありませんでした。小生の中では可もなく不可もなくという感じです。
(シューマンの交響曲の中では一番よく聴くので辛めになりました。)

しかし、2では開始早々の第1部シンフォニアの熱さに、リラックスしていた
身体を起こしてしまい、とうとう第2部の最後まで身じろぎもせずに聴いて
しまいました。1を経たのでこれは想定外。感動もひとしおでした。
まず、メンデルスゾーンの5つの交響曲でも声楽付きの長大なこの曲は、
はじめて聴いたのですが、メンデルスゾーンらしい旋律が断片的に現れ、
耳になじみやすいという側面ももちろんあります。
そして、札響もトロンボーン等の金管楽器はじめ全セクションが健闘していた
ことも間違いありません。しかし、何よりも驚いたのは札響合唱団と独唱陣。
特に合唱団は相当な練習量と質を確保したのではないかと思われる良い出来映え。
拍手もひときわ大きかったように感じました。
また3名の北海道ゆかりのソリストも粒揃いで申し分なし。記して敬意を表したい。

ソプラノ 針生美智子
ソプラノ 安藤赴美子
テノール 櫻田亮

そして何よりもこれらをまとめ上げたポンマーさんの手腕の見事なこと。
この曲で改めて、ポンマーさんの実力の一端を知らされた思いです。
「讃歌」は札響側からの提案だったとポンマーさんがパンフレットに書かれていますが、
これはナイスな企画でした。札響にもアッパレをあげたい気分です。

首席指揮者就任記念演奏会も無事終わり、これから3年間で札響をより良い方向へ
発展させていってもらいたいのですが、エリシュカさんに加え、ポンマーさんという
聴く楽しみが札響に増えたのは何よりです。
今回は録音されてCD化されるので、ひょっとしたらメンデルスゾーン作品も継続して
取り上げるのかなという淡い期待もあるのですが、エリシュカさんが一連の
ドヴォルジャーク作品を取り上げて録音したような企画が
ポンマーさんにもあることを期待したいと思います。

昼公演。8~9割の入りか。
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by capricciosam | 2015-07-11 19:41 | 音楽 | Comments(0)

札幌交響楽団第578回定期演奏会@Kitara2015

【プログラム】

1 ベートーヴェン 交響曲第4番変ホ長調
2 ブラームス 交響曲第4番ホ短調

2月以来休館していたKitaraも6月17日に再開。再開当日のタリス・スコラーズは
完売する賑わいだったようですが、小生の再開第一弾は札響定期となりました。

ドヴォルジャークを終えたエリシュカさんが、現在札響と取り組んでいるのが
チャイコフスキーとブラームス。中でも、ブラームスは1回目の3番に驚愕し、
2回目の2番でチクルスの完成を渇望する程の素晴らしさ。
そこで今回の4番であるが、御歳84歳とは思えぬ、きびきびした指揮から紡ぎだされる
音楽の躍動たるや、今まさに音楽が誕生したばかりのようなフレッシュさだ。
エリシュカさんは、決して奇を衒うような派手さはなく、むしろ音楽を忠実に再現しよう
とするかのような献身を感じるのだが、その方向性が、4番にまとわりつく手垢を
きれいにぬぐい去る効果を生み出すのかもしれない。仮にエリシュカ・スタイルという
ならば、これを好ましく受け止めない人はいないのではないか。
録音されていたので、後日発売されるCDを楽しみにしたい。

また、ベト4はブラ4以上に収穫の大きさを感じさせる出来映えだった。
これまでエリシュカさんのベートーヴェンの交響曲は、第九(2012年)、田園(2013年)
と2回聴いたが、今回の4番が一番しっくりきた。
エリシュカさん本来の旋律を歌わせながらも、メリハリをつける躍動感溢れる
音作りは4番にはうってつけだった。比較的地味な作品にもかかわらず、
実は生気溢れる作品であることを再認識させられる思いだった。
「ベト7だったら」なんてことも頭をよぎったが、これはエリシュカ・マジックだった。

昼公演。ほとんど空席が目立たず、9割の入りか。
鳴りやまぬ拍手は10分程も続いたが、客席の満足度の高さが表れていた。
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<追記>
打楽器首席、コントラバス首席は現在空席のため、今回は(コントラバスは今回も)
客演が首席を務められていた。ティンパニは元読売日響首席、コントラバスは
日フィル首席(この方は一年前の4月定期にも登場されていた)だった。
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by capricciosam | 2015-06-20 21:04 | 音楽 | Comments(0)

Kitara休館の間に①~札響2014を振り返って

札幌交響楽団(以下、「札響」という。)の2014~2015演奏会が2月で終わった。
定期演奏会10回全てに足を運んだのは初めてだった。
定期会員でもないのだが、尾高音楽監督(以下、「尾高さん」という。)がラストシーズン
となったことと、プログラムに惹かれたのが大きい。
小生には近年では一番魅力的なプログラムだった。
しかし、仕事もあり完走は難しいのではと躊躇したのも事実で、なんとか全回聴きに
行けてほっとしている。
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ここ10年程ではあるが、札響の演奏には満足するものが多くなったなとの思いを抱く。
団員のみなさんの努力と実力の向上が大きいのだろうが、尾高さん、首席客演指揮者
のエリシュカさん、前正指揮者の高関健さんが果たされた役割は大きいと思う。
特に、通算44年、ポストを得て22年の尾高さんは財政危機から破綻の恐れにあった
札響とともに歩んでくれたその心意気に一人の道民として感謝したい。
そして、常任指揮者、音楽監督として実直かつ端正に札響を鍛え上げ、現在の札響の
広範な実力向上につなげていったと思うのだが、そこに見事な指揮ぶりで音作りをする
高関さんがトレーナーとして貢献したことも大きいと思う。
また、いち早くエリシュカさんを見つけ出してポストを付与したことも尾高さんの功績
だろう。今ではエリシュカ&札響が全国的に注目を浴びていることが、
地元ファンとしては何やら誇らしい限りだ。

さて、2014~2015シーズンの話に戻そう。
毎年末、定期会員のアンケートをとっていて、1月定期演奏会で配布された資料には
2014年「よかった」と思う定期演奏会ランキングからベスト5が発表されていた。
(1月16日現在とのことで、1月、2月の定期演奏会は対象外らしい。2015年に
含まれるのだろうか。)これをそのまま引用するのは憚るので、小生は少しひねって
みることに。2014~2015シーズン定期演奏会で聴いた曲のうち印象深かったベスト5
を選んでみた。

1 10月定期演奏会 指揮:尾高さん マーラー:交響曲第9番

2 11月定期演奏会 指揮:エリシュカさん ブラームス:交響曲第2番

3 5月定期演奏会 指揮:高関さん 伊福部昭:演奏された作品全て

4 12月定期演奏会 指揮:ペーターフロール チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
              ソリスト:ハーデリッヒ

5 9月定期演奏会 指揮:児玉宏 ブルックナー:交響曲第6番
 
1は見事な凝集力に圧倒されたものだ。2を聴いてエリシュカさんのブラームス・
チクルスの完成に期待が一層高まりました。3と4は少し変っています。
プログラムが発表された時一番期待した3だが、高関さんの見事な指揮により感激大。
と言う訳で全部(反則だね)。4はメインデッシュも悪くなかったんだけれど、
ハーデリッヒのうまさに不意打ちを食らい、全身の血が沸き立った。
ベートーヴェンかブラームスで再び聴いてみたい衝動がいまだに。
5は徐々に演奏が良くなり、終わってみると深い味わいがひとしお。

また、資料には『2015年度「期待する」定期演奏会ランキング』ベスト5も
同時に掲載されていました。エリシュカさん、尾高さん以外には広上淳一、
アシュケナージの名が。
不思議なのは次期首席指揮者ポンマーさんの名が見えないこと。
まあ、初物(はつもの)同然故に少し敬遠されているのかな、とも思いましたが、
前回定期演奏会で登場した時の聴衆やオケの評価が高かったように聞いていたので
会員の多くが聴いているはずなのに、、、、、と、やや意外でした。
ホント、予想外。もっとも次シーズンの定期演奏会ではポンマーさんは3回登場する
予定なので、どこかで自分の耳で確かめることができそうです。
えっ、毎回いかないのか、ですって。
仕事しながらなので、基本的に無理。前シーズンはあくまでも特別です。
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by capricciosam | 2015-03-01 22:14 | 時の移ろい | Comments(0)

札幌交響楽団第577回定期演奏会@Kitara2015

【プログラム】

1 シベリウス 交響曲第5番変ホ長調
2 シベリウス 交響曲第6番ニ短調
3 シベリウス 交響曲第7番ハ長調

尾高さんの札響音楽監督として最後の定期演奏会。
取り上げたのはシベリウスチクルスの完結となる後期交響曲。
これまで巷間「札響にはシベリウスが似合う」との評判は耳にしたものの、
演奏される作品には偏りがあるようで、今回取り上げた札響の演奏歴は
1から順に4回、1回、3回と少ない。つまり、決して耳なじみのある曲ではない。
やはり「さまざまな形式や表現を通じて追求してきた交響曲連邦の高峰」
(会場で配布された資料P6より引用)であるが故の取っつきづらさが影響しているのか。

CDでは予習していたものの、改めて印象深かったのは2、3。
永遠とか、宗教的憧憬を想起させるかのような清澄さ、静謐さが印象的な6は
3曲の中では18年前に一回演奏されたきりで、尾高監督も初めて指揮されたとのこと。
指揮棒を持たずに情熱的に指揮された尾高監督の下、札響のアンサンブルが素晴らしく、
演奏終了とともにこみあげる思いは格別のものがあった。
3ではさらにそのアンサンブルが精緻になったような印象を覚えた。
単一楽章の中に千変万化する色合いを楽しんでいるうちに「簡潔で
無限性を志向するような集結を迎える」(会場で配布された資料P9より引用)。
尾高監督のコントロールが冴え、見事な大団円だった。

惜しむらくは、3曲とも監督が腕を下ろしきらぬうちに拍手が始まったことだ。
音が鳴りやんだ後の静寂がもっとあれば、余韻を経てより感動は深まったことだろう。
ライブ録音されていた。やや空席があったものの、9割以上の入り。

3月末と4月末で退団される2名に花束が贈られた後、札響理事長がマイクを
持ってステージに現れ、尾高監督に丁寧な謝辞を述べられて花束を贈る。
それを受けて尾高さんは概ね以下のように最後の挨拶をされた。

「ひとつだけ訂正しておきたいのは、僕は「おだか」ではありません、「おたか」です。
(作曲家の)兄は「おだか」と言ってたのですが、僕は若い頃から「おたか」と言ってました。
尾高賞を兄が受賞した時は司会のアナウンサーもこんがらがっていました(笑)。
44年札響と関わってきて、うちポストを持ったのは22年。常任指揮者を引き受ける前に
Kitaraホールができあがっていたのですが、僕はこのホールが大好きです。
札響もこのホールとともに成長してきたように思います。(音楽)監督はいつまでもやる
ものではありません。オーケストラは色々な指揮者に振ってもらわなければだめなんです。
僕の後は、ポンマーさんやエリシュカさんの他色々な方が振る予定です。
僕も秋には定期に来ますので、ぜひまたお越しください。ありがとうございました。」(大拍手)

演奏者とて人。オーケストラも人の集合体であるが故に、演奏は常に変化し、
この段階でもう良いなんてことはない訳なんだが、近年の札響の充実をみると
尾高監督の長年に渡る尽力と果たした役割は大きいのではないかと思う。
お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
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by capricciosam | 2015-02-14 22:16 | 音楽 | Comments(0)

札響名曲vol.5@Kitara2015

【プログラム】

1 メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲ホ短調
2 ラフマニノフ 交響曲第2番ホ短調

3月で退任される尾高さんが音楽監督として最後に札響を指揮されるのは台湾での演奏会。
今回のプログラムは台湾でも演奏されるとのことで、「台湾公演壮行演奏会」となった。
チケットは早々に完売しただけあって、ほぼ空席が見えない大ホールは壮観。

これまで台湾のオーケストラはkitaraで2007年にフィルハーモニア台湾2014年に
台北市立交響楽団
と2回聴くことができた。どちらのオケも交響曲をロシア作品にし、
聴き応えはあったのだが、中でもフィルハーモニア台湾はラフマニノフ2番を
「楽員自身がオケの看板曲」としているらしい。
ロシア作品が好まれる(と思われる、あくまでも独断です。)土壌のある台湾に、
ラフマニノフ2番を持ち込む訳だから尾高監督も相当の自信があるのでしょう。

近年、この作品は尾高&札響で2005年定期演奏会2010年定期演奏会で取り上げられており、
今回で5年おき3回目となります。毎回大きな感動に打たれてきたのですが、
今回はさらに札響の機能をフルに引き出しつつ、一層丁寧に仕上げたような印象が残りました。
管弦一体となった濃密な60分に渡る演奏は見事。中でもクラリネットは素晴らしかった。
これなら台湾でも満足いただけるのではないでしょうか。

かつて尾高さんはBBCウェールズ響とラフマニノフの交響曲全集を発売されたくらいなので、
この作品はご自身にとっては自家薬籠中のものなのでしょう。
実際、今回も譜面台に譜面も置かずに暗譜で指揮していらっしゃいました。
2010年定期の記事でも書きましたが、この作品だけでも札響とCDとして残しておいて
ほしかったところです。(今回録音はされていたようですが、放送用なのでしょうか。)

1のソリストは札幌出身。地元贔屓もあり、盛大な拍手が送られていた。
アンコールも3曲。

4 パガニーニ 24のカプリースより第5番
5 パガニーニ 24のカプリースより第24番
6 エルンスト 「庭の千草」の主題による変奏曲

大サービスとは思うものの、20分程度そのままステージでつきあったオケが気の毒。
1ではソロが丁寧に演奏したことは評価に値するが、ソリストとして発散される「熱」が
あまり感じられずに終わったため、曲自体がいささか感興に乏しい印象が残った。
少し年上ではあるが、12月定期演奏会に登場したハーデリッヒとの違いに
思いを巡らせざるを得なかった。素質十分だろうから更なるスケールアップを期待したい。
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by capricciosam | 2015-02-07 23:21 | 音楽 | Comments(0)