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サイモン・ラトル&ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団@ミューザ川崎2008

そもそも今回の東京行きのきっかけはこの演奏会だった。

ラトル&ベルリンフィルは4年前になんとも魅力のないプログラムと
法外なチケット代で来札したが、これはムカッときてパスした。
しかし、案の定なかなか再来札はかなわずじまいで、ちょい未練。
また、マグダレナ・コジェナーも5年前に来札したっきり。
これは大いに迷って、結局パスしたが、後年ラトルと結婚したから、
もう絶望的だろうなと思い、これは大いに後悔した。
と言うわけで、私の中ではこれらの演奏会はあきらめていた…

そんな夏のある日のこと。
まだ足を踏み入れたことのない「ミューザ川崎」で
ラトルとコジェナーとベルリンフィルの演奏会がある、という情報が。
「生涯においてこのチャンスを逃すと後悔しないか?」
「でも川崎か…、遠いなぁ…」
「わざわざ出かけるだけの値は…」
「……私にはある!!」

結局、年甲斐もなく後先考えずに行動して、なんとかチケットは
入手できたものの、そりゃ当然家計にしわ寄せがいく話ですから、
カミサンとのタフな交渉が待っていました(汗)
それで、なんとか拝み倒して実現した訳です。
「一生のお願い」この手形の乱発でしたね…
ありがとう、カミサンなのです、ハイ。
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一曲目ハイドン交響曲第92番「オックスフォード」
ハイドンの交響曲はごく有名なものしか聴いたことがないため、
初めて聴きましたが、ベルリンフィルのつややかな音色に
うっとりして耳を傾けているうちに、25分程の曲は終わった。
実にモダンな響きで聴かせてもらいました。

二曲目マーラー/リュッケルトの詩による5つの歌
コジェナーが登場し、拍手も一段と盛大になる。
次の順番で歌われた。
①美しさゆえに愛するのなら
②私の歌をのぞき見しないで
③真夜中に
④私はほのかな香りを吸い込んだ
⑤私はこの世に忘れられ

マーラーが次の創作段階に進む時期でもあり、
妻となるアルマとの婚約した年に大半の曲が作られたという
この一連の歌曲は、やはり「幸福感」に満ちている。
彼女は表情豊かに、かつ適度な動きも交えて、
歌の内実を伝えようとしていたが、
これはかなり成功していたように思う。
歌い終えたコジェナーの手にラトルが軽くキス。
なんとも、憎い光景ですなぁ…

第三曲ベートーヴェン交響曲第6番「田園」
私としてはマーラーで満足していて、やや肩の力の抜けた状態。
第一楽章から、ラトルの紡ぎ出す調べには、就任した当時に
耳にした妙な「個性」は感じられず、実にオーソドックスに曲が
展開されていきます。さすがベルリンフィルです、
演奏にまったくゆるみや破綻を感じさせません。実に快適。
ところが、曲が進むにつれ、ラトルの指揮にあおられたかのように
徐々に演奏がヒートアップしていき、続けて演奏された
第3楽章から第5楽章には、思わず手に汗握って聴き入って
しまいました。見事なアンサンブル。完璧。
まさか、手垢のついたこの名曲の空前絶後の演奏が
待っているとは、望外の喜びでした。
ややフラング気味の拍手でしたが、ブラボーが盛んに飛び交い
会場の満足度の高さが表われていました。
アンコールはありませんでしたが、鳴りやまぬ拍手に応えて
楽員のいなくなったステージにラトルがひとり登場してくれました。
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<蛇足>
Kitaraのシンメトリーな座席配置に慣れている身には、
ミューザ川崎の、まるでりんごの皮を切らさないで剥いて
いったような配置の座席はおもしろかったですね。
3階席でしたが、ステージもKitaraより近く感じられました。
また、音はKitaraよりやや残響が少ない感じでしたが、
クリアな感じがしました。
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<1.24追記>
産経新聞の音楽欄に担当記者が「ホンネのベストテン」として
年間6位に当コンサートを選んでいます。
「横綱格のベルリン・フィルは来日初日にラトルの細君、
マグダレナ・コジェナーが絶妙無比のマーラーを披露。
ミューザ川崎の美しい響きも大きな力となった。」
首都圏の数多ある演奏会でも上位に選ばれるほどだったとは…
ついてたなぁ~

by capricciosam | 2008-12-03 20:15 | 音楽


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