ギリシャのパパンドレウ首相の国民投票発言には、小生のような凡夫もさすがに驚いた。
実施したら、恐らく国民の反発からEUの支援策を反故にしかねず、 12月にも国庫がショートして国家財政が破綻。 連鎖的に経済恐慌が世界中を巻き込んでいく可能性が高い。 それ故、独仏首脳の説得が功を奏して、とりあえず国民投票は回避されたようだ。 しかし、ギリシャ政治が依然安定する見通しがないことから予断は許されない。 ギリシャから見たら、いわゆる「極東」の、それも「在」に位置する住民とて 経済がグローバル化している以上、遠い国の騒動だから縁がないとはいってられない。 タイの洪水被害で日系企業の生産に影響がでていることも然り。 でも、そもそもどうしてギリシャの国家財政が危機になったのか。 そう思って検索していたら、次のような記事を見つけた。 北大の宮本教授が書かれたものだ。 「ギリシャの債務危機を契機とする金融不安が世界を覆う。 これを福祉国家の破綻のように論じるのは間違いだ。 むしろ問題は、ギリシャ型社会保障が今日の社会保障に求められる役割を ほとんど果たしていない、という点にある。 年金給付ばかりを膨らませ、現役世代の支援が決定的に弱いのだ。 ギリシャは社会保障支出の66%が年金給付という突出した「年金国家」である。 2020年には年金給付がGDPの20%を超えると予想される。 早期退職年金が600近い職種に認められていて 男性は55歳、女性は50歳で年金生活に入ることができる。(略) 年金制度は政治家が業界への利益誘導をおこなう道具になっている。 他方で現役世代の就労支援や保育サービスは弱く、25歳までの失業率は35%を超え、 女性の労働力率は43%にとどまる。これでは経済はもたない。」 (以上、毎日新聞10/28より引用) えっ、55歳で年金もらえるの!? 病弱でもなければ、まだ働ける歳でしょう。 これじゃ、働くのが馬鹿馬鹿しくなっちゃうよ。 それにあと10年もしたら年金給付がGDPの20%近く。 いくらなんでも大盤振る舞い過ぎるんじゃないの。 記事では続けて、同じEUでもギリシャのような「雇用なき社会保障」と対比させて、 北欧の好調ぶりの要因を「現役世代の雇用を支え能力を高める社会保障」が 経済を浮揚させる力とになっていると指摘する。 そして、「雇用支援の社会保障」の機能強化こそが日本のとるべき道である、 と結んでいる。 なるほど、若者含む現役世代の雇用を支援する社会保障政策を展開して いくことが急務なのでしょうね。ウンウン。 しかし、ギリシャでは国民への過剰サービスをする放漫財政がまかり通っていた割に 年代には偏りがあり、若者には厳しかったようです。 この点はギリシャだけではなく、日本を含めた世界的な傾向で、 アメリカの「occupy WallStreet」の拡がりにも通じるもののでしょう。 富の偏在傾向が強まるのに、国家財政が苦しく、経済的弱者への救済が十分ではない。 日本とて1000兆円になろうとする財政赤字を抜本的に解決することができず、 G20では野田首相が「2010年代半ばでの消費税の10%」を国際公約してきた。 大震災もあり、負担はわかるものの、増税の一方で官僚の天下りに代表される ムダの削減は一体どの程度進んだのか? 支出を抑える抜本的な仕組みの改革はどうなったのか? 実行がいつまで経っても具体的に見えないのでは、忍耐にも限度があろうと言うものです。
by capricciosam
| 2011-11-05 08:40
| 時の移ろい
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