ちょっと日にちが経ってしまいましたが、演奏会の感想をひとつ。
年内の演奏会は11月の佐渡裕&DSOで止めようと思っていたのですが、 道内の音楽課程を有する大學の演奏力というのが気になっていたことと、 12月に聞き逃したバッハが演奏されることから、急遽足を運んできました。 「私たちは実技レッスンを中心に、ソルフェージュや音楽理論などの音楽の基礎、 そしてオーケストラ、吹奏楽、合唱、室内楽など幅広く音楽を学んでおります。 音楽の教員を目指す学生やプロの演奏家を目指す学生、民間への就職を目指す学生など 進む道は様々ですが、音楽を愛する仲間が集まって切磋琢磨しながら学生生活を送って おります。」(以上、会場で配布されたパンフレットより引用) 教員養成系大學で、何年か前に芸術系は岩見沢校に集約されことは知っていた のですが、これを読んでも、進路は多様なんですね。 PMFでもたまに北海道教育大学出身者を目にすることがあったのですが、 やはり、「プロの演奏家を目指す学生」もいるんですね。 横道に逸れますが、かつてPMFを巡る議論の中で、道内出身者を優遇すべし、 という意見もあったように覚えていますが、そもそもPMFは実力で選出されるべきで、 「道内選出枠」のような論には基本的には首肯できないですね。 そもそも道内での音楽系学部の数の少なさがあるから、層の厚みもない中で そんな甘い枠を設けたら、実力不十分な者が紛れ込んでしまう可能性もある訳で、 PMFの質の低下にしかつながらないと思うのです。 小生としては、PMFにはプロ寸前の迫力を期待しているんですよ。 さて、当夜の演奏曲は次のとおりです。 1 W.バード オックスフォード伯爵の行進曲 2 ショスタコービッチ カテリーナ・イズマイロヴァより3曲 3 アルビノーニのアダージョ 4 J.S.バッハ ミサ曲ロ短調より4曲 5 モーツァルト クラリネット協奏曲より第一楽章 6 チャイコフスキー 交響曲第5番 1,2は吹奏楽。 普段なじみがないので、演奏の善し悪しは省くとして、全体によく鳴っていたのでは ないか。しかし、音に、例えば輝きというような色づけはなく、実に生真面目な感じ がした。また、全体に強奏気味だったことから、やや単調さも感じられた。 3はレコード時代から名曲として聴いていたが、実演は初めて。 オルガンの響きに比べ、肝心の弦楽器の響きが弱く、印象としてはボケ気味。 これは以降の曲にもつきまとったのだが、弦楽器、特にヴァイオリンの響きが弱いため、 弦楽器が作る大きなうねりに乏しかったのは残念だった。 もっとも、これは弦楽器専攻者そのものの数の少なさや経験年数の浅さに起因するのでは ないか、と勝手に想像しているので、決して非難している訳ではありません。 4は合唱が加わる大曲で、キリエ、グローリア、クレド、サンクトゥス、アニュス・ディ の5部に別れるが、当夜はグロリアを除いて各部から一曲ずつ。 合唱のパートによっては、発声の不揃いが感じられたものの、 なかなかの出来映えに、思わず身を乗り出して聴いていた。 どのくらいの練習を重ねたのか知らないが、以前聴いた道内アマによる「マタイ受難曲」 の合唱に匹敵する位の良い印象。健闘していたと思う。 5はクラリネット独奏が秀逸。なんでも学内オーディションで選ばれてソロを務めた らしいが、残る楽章全部を聴きたい、と思わせる達者ぶりには正直驚いた。 この時は弦楽器の響きも良く、オケも含めて一番安心して聴いていた。 6は先月の佐渡裕&DSOでも聴いているだけに、ややハードルは高くなるのですが、 総じて安全運転という印象はあったものの、素人にもわかる傷もあまりなく、 聴き終えてみると、思わず「ブラボー」でした。 特に第二楽章ではホルンの女性が顔を紅潮させて健闘していましたが、 プロでも難しいソロをよくこなしていました。お疲れ様でした。 2時間以上かかり、吹奏楽、合唱、オーケストラと盛りだくさんな内容でしたが、 聴く楽しみを改めて感じさせてくれる楽しい演奏会でした。 大変な準備を重ねたのでしょうが、 「音楽を学び、演奏出来ることへの喜びや感謝の気持ちを込め精一杯演奏します。」 (以上、会場で配布されたパンフレットより引用) こういう気持ちが感じられる良い演奏会だったと思います。 岩見沢校の音楽コースが益々充実していくことを期待したいと思います。 それからこれは思いつきですが、同じ空知管内にあるというよしみで、 あの素晴らしい響きの奈井江町コンチェルトホールで小編成による演奏会を スタートさせてみてはどうでしょうか。 もちろん、経費がかかるのは承知しているのですが、 学生の響きに磨きがかかるのではないか、と思うのですが‥。
by capricciosam
| 2011-12-17 19:39
| 音楽
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