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安永徹&市野あゆみ室内楽シリーズ第4回@Kitara2014

演奏されたのは以下の曲。

1 ブラームス ピアノ三重奏曲第1番ロ長調(1891年改訂版)
2 ミヨー 「世界の創造」ピアノ五重奏版
3 ワインガルトナー ピアノ六重奏曲ホ短調

「ブラームスは聴いたことあるけれど、ピアノ三重奏曲は?」
「ミヨー、WHO?」
「ワインガルトナー、WHO?」

初めて聴く曲だらけで、まるでチャレンジャーの気分で足を運びました。
この辺りは安永さんも十分ご承知のようで、全プログラムを終えてから
安永さんも挨拶される中で、「誰それ?聴いたことないよ」と表現されていました。
ですが、すごい数の曲が作られてきたにもかかわらず、実際に演奏されているのは
ごくわずかということも身振りも交えて表現され、これからも機会を捉えて
こうした「埋もれた曲」を紹介していきたいということでした。
全4回のうち聴いたことがあるのは第3回のみで、あの時もブルックナー、
フランセと珍しい曲がありましたが、そういう企画意図があったということなんですね。

聴いててスンナリ楽しめたのは2のミヨー。
配布された資料によれば、ジャズを取り入れたバレエ音楽で、
「アフリカ版春の祭典」とも言える作品らしい。
「前奏曲」「フーガ」「ロマンス」「スケルッツオ」「フィナーレ」の全5楽章から構成される。
ジャズ色が明らかになる「フーガ」などは実に小粋に聴かせる。
管楽器や打楽器がない分、「パリ風のおしゃれで上品」(配布資料より引用)な感じがある。
ただ、「春の祭典」から連想するようなエネルギッシュさがあるという訳ではない。

3の配布資料の解説は市野あゆみさんが書かれたCDのブックレットから引用されていた。
以下、「 」内は配付資料からの引用です。ワインガルトナーは「マーラーの後任として
ウィーン宮廷歌劇場の指揮者」を務めつつ、作曲もし、多くの作品を残したらしいが、
3は「現在では楽譜を入手することは不可能に近く、最近は殆ど演奏されていない。」
とのことだ。まさしく埋もれた曲と言えるのかもしれない。
「この曲を通して感じられる燃えるような切迫感、人生への哀感、永遠に続く大河を
思わせるような雰囲気、諧謔的なもの」が感じられるとのことだが、弦楽器のピチカートに
ピアノが印象的な主題を奏でる第2楽章などは、なるほど諧謔的雰囲気が感じられた。

1は全4楽章からなるが、エネルギッシュな面と穏やかな面が次々に現れ、
総じて聴いてる方も体力が必要な感じだった。

札響メンバー4名のうちクワルテットメンバーが3名だからなのか、
市野さんの雄弁なピアノと安永さんのリードに、うまいアンサンブルを形成していたように思う。
これからも札響は安永さんとの共演の機会をぜひ設けていただきたいと思う。
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<追記>
アンコールを忘れていました。安永さんと市野さんで

シューマン 夕べの歌Op.85 No.12

ピアノ連弾の曲らしいのですが、ヴァイオリンが上のパートを弾く
なんともやさしい雰囲気の曲でクールダウンさせていただきました。
by capricciosam | 2014-05-05 20:27 | 音楽


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