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プロフェッショナル

年度末のせいか、なにかと慌ただしく過ごしています。

先日TVでたまたま目にした番組です。
挟土(はさど)秀平、43歳。
飛騨高山に住む左官の方です。
勝負服はボロボロのトレーナー、という「職人」です。
インタビューの中で印象に残った言葉。

■職人の仕事は要求に応えるだけではダメ。
  要求を越えて、初めて職人と言える。職人の仕事にゴールはない。

■良いことは自分の心に持ちすぎてもダメ。慢心してしまうから。

■追い込まれたら、逃げてみる。
  どんなに追い込まれても焦ったらダメだ。

熱海の住宅の壁も2回塗り直したのも束の間、髪の毛ほどの
亀裂が発生した。建築主もそのままでよいと了解しているのに、
チームの職人を説得して、3回目の塗り直しをする。
プロとしてのこだわりぶりに半ば感嘆し、半ば得心してしまう自分。
プロとして納得できる仕事は、同時にお客が満足する品質を
提供することも意味している。
両立できて初めて「プロ」なのかもしれない、と改めて思い至る。

それにつけても、札幌で発覚した耐震構造の偽装問題。
会見した建築士の
「耐震壁が多い方が強度があるという信念を持って構造計算をした」
との発言には、思わず首を傾げた。
「信念?」
建築物が命や財産を守り、他人に迷惑をかけないためには
合理的で客観的な基準の遵守が何よりも優先されるべきであろう。
「耐震壁が多い」=「強度がある」
は果たして基準にあるのか。あるのだったら、「信念」などと大げさに
言う程のものではない。しかし、ないのであれば、「信念」だけで
耐震構造としての品質はプロとして提供できた、というのだろうか。
仮に、ご本人はそんな信念だけが頼りで、客観性のないマンションを
ローンを組んでまで購入するのだろうか。
自分は納得して自信もあったのだろうが、結果的にお客が安心して
住めるだけの品質を提供していたのだろうか。

この件に関して、札幌市内でインタビューに応えていた
年輩の方の発言。

■将来、今の時代は「(プロとしての)良心を失った時代」と
  いわれるんだろう。
by capricciosam | 2006-03-09 22:15 | 時の移ろい


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