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ダ・ヴィンチ・コード@角川文庫

多忙を極めた反動で、一日中読みふけっていました。
気分的にもリフレッシュすることを求めているんでしょう。
読了寸前に疲れて寝込んでしまい、こんな時間に更新する
ことになりましたが、おもしろかったので冷めないうちに、さっそく。

「この作品の最大の魅力は膨大な量の蘊蓄が満載されている」
ことである、と訳者が喝破されています。
しかし、その蘊蓄もニセモノが多いのでは私としては興ざめ
なのですが、各巻の本文直前に掲げられた次の文で質は
保証されるようです。

「この小説における芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する
記述は、すべて事実に基づいている。」

すなわち、作者は事実を巧みに組み合わせて、小説=虚構を作り
あげた、ということになるのでしょう。
しかし、果たして虚構なのか、ひょっとして真実が含まれている
のでは、と思わせるくらいストーリーは実に良くできています。
それに比べ登場人物の造形はそれほどでもありません。

蘊蓄の最重要キーワードは、やはり「聖杯」につきるでしょう。
聖杯というと、私などはすぐに「インディ・ジョーンズ最後の聖戦」
を連想してしまいます。(^^)
不思議な力のある聖なる杯、という訳です。
ところが、その意味するものがまったく異なる、という謎解きが、
ダ・ヴィンチの名画やキリスト教(カトリック)の確立と絡めて、
歴史の裏面史として綴られていきます。しかも、テンポよく。
これは、まったく知らなかったことなので、実に興味深かった。
そもそもの発端の二人に聖書的解釈を加えなければ、
それもありうるかもなー、と妙に感心してしまいました。
世界史で習った(はず!?)「ニケーア公会議」は、
重要な転換点だったんだ、と認識を新たにしています。
教科書で取り上げられる無味乾燥と思われたことも、
実に生き生きとしてきますから、不思議です。

先年公開された映画「パッション」にも通じる視点を感じますが、
こちらのほうが数段踏み込んだ解釈を展開しています。
世界中でベストセラーになって、キリスト教社会では物議を
醸したという話はうなずけますね。そのくらい既成の権威を
否定しかねない「過激」な側面を有しています。
さて5月に公開される映画は、どんな仕上がりでしょうか。
興味ありますね。
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by capricciosam | 2006-03-26 04:44 | 読書


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