先日、NYのオークションで競売にかけられて約12.5億円で
三越が落札した運慶の作品とみられる木造大日如来像。 世間でも仏像の国外流出防止にホッとしたところで、次の関心は 「三越は、一体誰の依頼で落札したのか?」 という点だったように思いました。 一週間経って、依頼主が「真如苑」という新宗教団体であることが 報道されました。 私にはその名を聞いても、高橋恵子さんや沢口靖子さんらが 入信していることで有名になったとか、不振に陥った日産自動車が 村山工場跡地をこの団体に売却したという程度の記憶しかありません。 女優やタレントの入信は他の宗教団体でもあることですから、 驚きとしてはそれ程でもなかったのですが、跡地購入には もっとびっくりした記憶があります。 「宗教団体ってどうしてこんなに資金が豊富なんだ!?」 という思いは残りました。 そのせいか、後日写真の本の帯に惹かれて、書店で平積みされていた この本を手に取りました。 本書では真如苑も含めた「新宗教」と呼ばれる10の団体についての 概要が各論でコンパクトに紹介されています。 どうしても各論の具体的記述に目を奪われがちですが、案外 この本のツボは「はじめに」と「おわりに」だなぁ、と思いました。 少し引用してみます。 ・新宗教の信者のなかには、一つの教団にとどまるのではなく、 さまざまな教団を渡り歩いていく人間が少なくない(P16) ・あらゆる宗教は、最初、新宗教として社会に登場するとも言える(p20) ・明治に入って近代化されるまで、日本には、「宗教」という 概念が なかった(p22) ・新宗教の大きな特徴は分派が多いということと、教団同士の間に 対立が起こりやすいとうことにある(P24) ・ある宗教がカルトとして糾弾されるのは、その教団が、 世直しの思想や終末論を強調したときだということは言える(p207) ・新宗教が問題を起こすのは、積極的な金集めを行ったときである(p208) 知らなかったり、感覚的に理解したつもりだったり、という点が うまく整理されていて、読んでいて参考になりました。 日常でも新宗教と思われる団体の勧誘や訪問に接する機会が 割とある以上、現代日本社会において一定の勢力を保持し続ける 彼らにいつまでも無関心ではいられないのではないか、と思います。 だからこそ本書は格好のガイド本としての役割を果たしているのでしょう。 最後に、例の運慶作らしい仏像ですが、真如苑は公開する方向で あること、重要文化財指定を受けることも検討していることを表明されて います。大変結構なことですね。
by capricciosam
| 2008-03-25 21:42
| 読書
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