NHK交響楽団第1883回定期演奏会@NHKホール_2018

【プログラム】
1 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番ト長調
2 ベートーヴェン 交響曲第4番変ロ長調

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
ソロ:マリア・ジョアン・ピリス

《開演前ツイート》
NHKホールなう。引退表明したピリスさんは日本ツアー中ですが、
オケとの共演はN響とのみ。まもなくNHK交響楽団第1883回定期演奏会が
始まります。チケット完売。楽しみ。

《終演後ツイート》
N響定期終演。引退の二文字とは無縁な端正にしてキラキラした音、
また音がピリスさんから紡がれる。カディンツァの活きの良さよ。
ブロムシュテットさんとN響との呼吸もあって、こんなにワクワクして
聴き通せた4番は初めて。盛大な拍手とブラボーに応えてアンコール。
堪らんなぁ〜。遠征した甲斐あり。
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# by capricciosam | 2018-04-20 23:59 | 音楽 | Comments(0)

横山大観展@東京国立近代美術館_2018

《鑑賞後ツイート》
N響定期前に横山大観展@東京国立近代美術館に寄る。
水墨画の大作「生々流転」はイメージ通りだったが、
シンプルにしてあっけらかんとした「群青富士」は新鮮。
彩色された作品も多く、興味深い。
併せて観られるMOMAT所蔵作品が素晴らしい。
美術の教科書に掲載された作品がずらり。望外の喜び。

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# by capricciosam | 2018-04-20 23:55 | 展覧会 | Comments(0)

札幌交響楽団第607回定期演奏会@Kitara_2018

【プログラム】
1 武満徹 「乱」組曲
2 武満徹 ファンタズマ・カントス
3 武満徹 遠い呼び声のかなたへ!
4 武満徹 弦楽のためのレクイエム
5 武満徹 「系図」-若い人たちのための音楽詩(詩:谷川俊太郎)

指揮:尾高忠明
ソロ:三瓶佳紀(2)、塩崎アレックス(3)
語り:中井貴恵(5)

《開演前ツイート》
Kitaraなう。まだ雪はたっぷりあるけど春近しを感じさせる穏やかさ。
久しぶりの演奏会は札響から。
2006年以来の尾高名誉音楽監督によるオール武満徹プログラム。
まもなく第607回札幌交響楽団定期演奏会がはじまります。楽しみ。

《終演後ツイート》
札響定期終演。「乱」「ファンタズマ/カントス」「弦楽のためのレクイエム」
「遠い呼び声の彼方へ」「系図」絶妙のプログラム。ソロも上手い。
特に「系図」の溢れるメロディーは「波の盆」を想起させる。
谷川さんの詩も相まって参った。
「尾高&札響&武満徹&Kitara」は最高のご馳走だと改めて知る。
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# by capricciosam | 2018-02-24 23:59 | 音楽 | Comments(0)

札幌座第54回公演「暴雪圏」@シアターZOO_2018

【出演】
斎藤歩…西田康男(志茂別開発株式会社従業員)
磯貝圭子…横井博子(志茂別開発株式会社事務員)
林千賀子…坂口明美(専業主婦・志茂別在住)
山本菜穂…佐野美幸(高校生・母は志茂別で居酒屋を営業)
熊木志保…
菊池健…山口誠(トラック運転手・佐野美幸を同乗させる)
山野久治…川久保篤(志茂別駐在所勤務の巡査部長)
山田百次…笹原史郎(暴力団組長宅を襲う強盗)
納谷真大…佐藤章(暴力団組長宅を襲う強盗)
町田誠也…増田直哉(ペンション経営者)
有田哲…菅原信也(坂口明美の浮気相手)

《観劇前ツイート》
シアターZOOなう。佐々木譲原作の「暴雪圏」は氏の警察シリーズでも異色の
駐在所勤務の警官が主人公。彼岸荒れに閉じ込められた十勝のスケールが、
このミニシアターでどう再現されるのだろう。
チケット完売の札幌座第54回公演がまもなくはじまります。楽しみ。

《観劇後ツイート》
「暴雪圏」終演。原作を再読して臨んだが、札幌座に見事にやられた。
100分ノンストップの最後まで舞台の緊張が持続。原作の圧倒的スケールを
度重なる場面転換と「雪」で再現した脚本にアッパレ。
原作をリスペクトしつつ、大胆に切り込む胆力が芝居には必要だし、
醍醐味と改めて知る一夜。明日千秋楽。
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# by capricciosam | 2018-02-20 23:59 | 舞台 | Comments(0)

クリスマスの約束2017

1 言葉にできない~小田さんのピアノと金原さんのヴァイオリン

曲が終わるとナレーション。
「今晩は。財津和夫です。同じ時代を生きてきた僕も、小田さんとこの一夜限りの
ステージを楽しみたいと思います。」
半ば想像していたものの、斎藤由貴さんの声が聴けないのは寂しいね。

2 Close to you~和田唱、JUJU、松たか子、小田さんで。「遥かなる影」だね


委員会バンド入場。
MC『小田さん、今年古希、70歳になられました。今後どうするんだという話で、
とりあえず小田さんの声帯を保存して、できれば小田和正クローンを作って、
小田和正2世、3世を作って』「よけいなお世話だ」(笑)『 』…根本要
「今年ムッシュー、かまやつひろしさんが亡くなられました。」

<以下「風のように歌が流れていた」2004.11.8放送分>
MC『昔、小田さんがオフコースやっていた頃、楽屋に遊びに行ったら無視された。』
(小田さん「そんなことありませんよ」と苦笑。ところで「若いミュージッシャンへ
何かメッセージはありますか?」『あんまり小技に走ってがんばらない方が良いよ。
自分の色出してやってれば、人生一回か二回は良いことあるよ。』『 』…ムッシュー
3 ゴロワーズを吸ったことがあるかい~小田さんとムッシューで

MC「委員会バンドでムッシュー・メドレーをやりますか」
4 あの時君は若かった~我が良き友よ~ノー・ノー・ボーイ~バン・バン・バン
 ~どうにかなるさ

MC「今年は古希なので(委員会バンドで)俺の曲をやろうと言ってくれた。任せると
言いながら口をはさみ、大層迷惑をかけて申し訳ありませんでした。」
5 Yes-No

MC「(忌野)清志郎の歌を何曲か取り上げてきて、その訳詞にしかない味わいがあって、
清志郎は凄いなぁーって。清志郎もいないし、じゃあ水野にやってもらおう、という
ことになりました。」『この曲はみなさんで一緒に歌うことが意味あると思うので、
ぜひみなさん、歌ってください。』『 』…水野良樹
6 You've got a friend~訳詞も良かったね  

(熊木杏里登場)
MC『緊張してます。いい日旅立ちみたいな感じで歌います。』
  「とっても素敵な歌です。」『 』…熊木杏里
7 新しい私になって

(和田唱登場)
MC「僕らの間でスターと呼ばれています。知っていますか?」和田本人は苦笑い。
「何歌おうかと思っていたら」『一致したんですよ。映画の曲。驚きましたね。』
「膨大な曲で、でも選ぶの楽しかったよね」『練習しましたもんね』『 』…和田唱
8 Tonight~White Christmas~Moon River~雨にぬれても~チム・チム・チェリー~
 My favorite things~Live and Let die~星に願いを

MC「(和田唱と)出会えたのはCDが最初で、2本目の脚本を書いている時に、
  TRICERATOPSの歌を超ヘビーローテーションしてまして」
  『3年連続で出させてもらい、僕の歌をやるのは初めて』
9 FEVER

(この時を振り返って)
独白「無心に自分の思いを、誰かに届くはずだと書いた曲は、最終的に届いていく。
   音楽だからね。誰かが聴いている。」

(JUJU登場)
10 あなたのくれたもの ~JUJUの依頼で「ままならない気持ち」を歌った曲

MC「財津(和夫)君に頼まれて書いた曲。彼は時々思い出したように手紙をくれます。
   その返事のつもりで書いた曲です。」
11 手紙にかえて~小田さんのピアノソロで

終わると財津さんのナレーション。
「音楽の返信、確かに受け取りました。いつまでも大切にします。」

(松たか子登場)
(紅白出場が決まったという話から)
『子供預かってくれますか?』「いくらでも預かりますよ」(笑)
出場曲と「アナと雪の女王」との歌い方の違いに聞かれた彼女の答えは興味深かった。
『戦い方が違うんです。燃え方が違うんです。』これは役者ならでは、だな。
『 』…松たか子
12 歌を捧げて~今回歌詞を書き足したそうです

MC「今年はダニー・ボーイを取り上げてみました。世界で一番愛されている民謡です。
戦争に家族を送り出さなければならない、やりきれない気持ちを歌ってます。今年は
これを歌ってお別れです。」
13 ダニー・ボーイ

小田さんは声高に世情に警告したり、政治的発言をする方ではないが、オフコース時代から
その鋭い視線は感じていた。一歩踏み込んだのは危機感の表れか。

終わると財津さんのナレーション。
「70歳を迎えた小田さん。ほぼ半分の年齢のアーティストとひとつになれるのが、
音楽のすばらしさです。」

14 the flag ~小田さんを長年支えて亡くなったスタッフに捧げたものなのでしょう

独白「ともに戦ってくれた人の顔が浮かぶよね。この先のことはわからないんだけど、
クリ約は俺にとって何だったんだろう。それは、なかなか…」

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<蛇足1.2>
こんな記事を見つけた。

『小田和正(70)が23日放送のNHK FM「今日は一日"小田和正"三昧」で、
1989年に解散した伝説バンド、オフコース時代の盟友、鈴木康博(69)と
35年ぶりに"共演"した。小田の番組に鈴木がメッセージを寄せる形で実現。
(略)鈴木は82年にバンドを脱退しており、同じ番組に"出演"するのは鈴木の
脱退後初だ。』(サンスポ 2017.11.24より引用。以下『 』は同様)

"共演""出演"となっていたので変だなとは思ったものの、
でもこれは大きな変化だ。で、そのメッセージだが、

『番組では鈴木が当時について「声を聴いただけで小田って分かるのが
(同じボーカルとして)悔しかった。オフコース時代は宝です。」と述懐。
小田に向けて「声がかすれたり、それなりに(体調に)気をつかうところが
お互いある。頑張ってほしい。」と激励した。』

"男の嫉妬"を吐露している率直さ。鈴木さんも老境を迎え、心の
わだかまりを客観的に語れる時が来たということなのでしょうね。

『盟友からのエールに小田は「ビックリです。あり得ないですね。
これは消化するのにしばらく時間がかかりそう。感動しちゃって…」
と感涙。オフコースについて「宝物だよね」と言い切り、「当時は
ありふれた幸せに背を向けるしかなかった。強がりでね…」と
懐かしそうに振り返った。』

二人とも、オフコース時代を「宝」「宝物」という認識があるのは
ホッとするが、高齢な二人の現役としての時間が限られる中、二人の
共演が再び実現しないものか。あの珠玉のハーモニーをもう一度。


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# by capricciosam | 2017-12-31 13:18 | 音楽 | Comments(0)

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団@NHK音楽祭2017

【プログラム】

1 ブラームス ドイツ・レクイエム 作品45

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
ソプラノ:ハンナ・モリソン
バリトン:ミヒャエル・ナジ
合唱:ウィーン楽友協会合唱団

歌舞伎をみた後は渋谷へ移動して初のNHK音楽祭へ。
渋谷駅からNHKへ向かう坂の途中で雨がポツポツ降り始めたので、近くのMUJIで
折りたたみ傘を買った。しかし、その傘も大して濡れないうちにNHKホールへ着いた
のは幸いだった。


「ドイツ・レクイエム」の実演は10年以上前に札響定期で聴いたきりで、
北海道ではなかなか実演に接する機会がなかった。

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の日本ツアーの一環として演奏されたが、
「ドイツ・レクイエム」の演奏は今夜だけ。
ブロムシュテットさんも
「とりわけ私は、日本の聴衆の方々の前でブラームスの<ドイツレクイエム>を初披露
できることに心躍らせております。」(ツアー公式パンフレットより引用)
と強調されていたので期待は大きかった。


指揮台の楽譜は閉じたままで、ブロムシュテットさんは暗譜で指揮されていた。
演奏には無駄な力みが感じられず、端正にさらさらと流れるが如くなのだ。
それが、逆にこの作品の核心に迫っているように思えたし、同時に作品への
リスペクト感が自然体の中から満ちあふれてきているようだった。
かと言って劇的さが希薄すぎる訳でもない。高いレベルでの中庸という感じだ。


また、特筆すべきはウィーン楽友協会合唱団。この作品は合唱の比重が高いと
思っているが、今回は合唱で聴かされたという気分になるくらい、実に説得力があった。
指揮者、オーケストラ、ソリスト、合唱が一体となった名演。
今回を越える「ドイツ・レクイエム」に出会うことは、今後そうそうないだろう。

曲が終わってもブロムシュテットさんはじっとしてなかなか腕を下ろそうとしなかった。
客席も水を打ったように静まりかえって(拍手をした唐変木一名を除いて)たっぷり
とした余韻を味わうことで、一層の感慨に浸ることができたのは僥倖と言えよう。

帰り道はしっかり濡れていた。恐らく演奏会の間は降っていたのだろうが、幸い雨は
上がっていた。結局、傘は使わずに済んだが、お陰でほぼ新品のまま持ち帰ることになり、
傘が東京土産になってしまった。この傘は「ゲヴァントハウスの傘」とでも呼ぼうかな。

<蛇足12.31>
12月はいくつかの演奏会を聴きに行こうと思っていたが、
急に諸事が重なり結果的に今回が今年の聴き納めになってしまった。
今年は今回の「ドイツ・レクイエム」と
4月のBCJの「マタイ受難曲」
宗教曲の珠玉の名演に出会えた一年となったことに感謝したいと思う。


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# by capricciosam | 2017-11-19 12:04 | 音楽 | Comments(0)

吉例顔見世大歌舞伎@歌舞伎座2017

【昼の部】

1 湧昇水鯉滝『鯉つかみ』
2 『奥州安達原』環宮明御殿の場
3 『雪暮夜入谷畦道』直侍

久しぶりの歌舞伎。新築なった歌舞伎座では初めて。
地下鉄東銀座駅から木挽町広場に至り、エスカレーターを上がると、
正面破風屋根に櫓も上がり顔見世であることがわかる仕掛けになっている。

1「鯉つかみ」
 滝窓志賀之助…市川染五郎
 小桜姫…中村児太郎

「釣家の息女小桜姫は許嫁で重宝の龍神丸を探す旅に出た滝窓志賀之助を待ち焦がれて
います。ある日、蛍狩りの最中に志賀之助が姫の前に姿を現し、二人は館へ戻り奥へと
入ります。時同じくして館に現れたのは龍神丸を持参した志賀之助。出迎えた家老の
篠村次郎は二人の志賀之助に困惑しますが、刀は真の龍神丸。そこへ関白家の御使者
堅田刑部がやってきて姫を差し出すよう迫りますが、龍神丸を持つ志賀之助がその
悪巧みを暴き成敗します。すると奥座敷の障子には姫と鯉の影。実は、奥にいる
志賀之助は偽物で、琵琶湖に古くから住む鯉の精が化けた姿だったのです。」
(以上、公演チラシより引用)

二人が仲むつまじく踊る場面で徐々に志賀助に化けた鯉が徐々に正体を現してきて、
愛しい姫を奪おうとする設定に観客は気がつく仕掛けになっている。
最後の鯉の精が住む滝の場面での志賀助と鯉の格闘での染五郎の早変わりは実に楽しい。
いささかの遅れもなく見事に決まるのだが、よく似た背格好の役者の方なので、
ちょっと目を離すと、どちらがどちらやらと思ってしまう。
ドキュメンタリー等で見ると舞台裏は大変なようだが、いやはや大したものだな。
しかも宙乗りや本水を使う(本作は夏に演じることが多いようだ)ので、格闘シーンで
鯉が尻尾を振るたびに客席前列には水の飛沫が飛んでいたんじゃないかと
冷や冷やしていた。はじめて見た「鯉つかみ」は、物語も場面転換もわかりやすく、
外連もある派手な場面もたっぷりで初心者にも楽しめる演目だった。
かみさんは染五郎の声があまり通らないと気にしていたが、小生は特段気にならず。
来年1月の幸四郎襲名後もさらに磨きをかけていってもらいたいと思う。


2「奥州安達原」~環宮明御殿の場「萩袖祭文」
 安倍貞任…中村吉右衛門
 萩袖…中村雀右衛門
 安倍宗任…中村又五郎
「源義家が奥州安倍氏の反乱を平定した後のこと。皇弟環宮が行方不明になり、
その咎から平兼杖直方に切腹の命が下されます。そこへ父の難儀を知った娘の萩袖が、
盲目で袖乞いの身を顧みず駆けつけます。しかし直方は安倍貞任と駆け落ち妻となり、
ごぜに零落した娘の対面を許しません。萩袖は不幸を詫びる祭文を語り、父母へ許し
を乞います。そこへ現れたのは義家の命を狙う貞任の弟宗任。宗任から直方を殺すよう
促された萩袖は思い余って自害します。やがて直方は環宮不明の責から切腹、上使の
桂中納言は直方の死を見届けて立ち去ろうとしますが、義家がこれを安倍貞任と見破り
ます。」(以上、公演チラシより引用)

舞台は下手側にしんしんと雪の降る屋敷の外、上手側に屋敷の中と大きく2分割されて
いる。盲目となった袖萩が幼いお君に手を引かれて下手側より登場。
親に逆らい駆け落ちしたことで最後まで許してもらえないまま父親は切腹、萩袖も貞任
の弟宗任から渡された短刀で自害、となんとも救いようのない設定の前半。
萩袖親子が主役のため、主に芝居は舞台の下手側だけで演じられる。通称「萩袖祭文」
と言われるくらい萩袖が雪の中で祭文を弾き語りする場面が見せ場なのだろうが、
今回は萩袖は三味線を弾くだけ。しかし、雀右衛門の切ない語り口で歌われたら
もっと胸に迫るものがあったのではないか、と贅沢な注文がふと浮かんだ。
また、母の浜夕役の中村東蔵が良い味を出していた。


静的な前半に比べ、安部貞任が登場する後半は動的。場面に重厚さが増し、かつ躍動する。
ここは吉右衛門の独壇場で、隙の無い芝居はもちろん声の張りも十分で、
人間国宝・文化功労者となっても枯れた気配は微塵も感じられない現役感たっぷりだった。
いやはや、上手いね。大ファンのかみさんも満足していた。


□「雪暮夜入谷畦道」
 片岡直次郎…尾上菊五郎
 三千歳…中村時蔵
「春がまだ浅い雪の夜の入谷の蕎麦屋。悪事を働き、終われる身の御家人くずれの
直次郎は、恋仲の三千歳を療治する按摩の丈賀に出会います。道中で悪党仲間の丑松
と遭遇、二人は互いの無事を祈り別れますが、丑松は直次郎を訴人することを決意
します。直次郎は三千歳が療養している大口屋の寮へとやってきて、二人は束の間の
逢瀬を楽しみますが、その場へ捕手が踏み込み、直次郎は三千歳を残し、
一人落ち延びていくのでした。」(以上、公演チラシより引用)
 
前2作が復讐譚なら本作は河竹黙阿弥作による世話物。
雪の降る夜に追っ手を避けてなじみの遊女と逃げようか、という一夜の物語。

そば屋では客がそばを食べてセリフを言う。
そばをずずーっとかき込む音が客席に聞こえる。見ると口をもぐもぐしている。
「ありゃ、本物だ!」
客が出て行ってから、花道から菊五郎登場。深い雪を跨ぐように歩いて店内へ。
そして熱燗を一杯やって、注文したそばを、やはりズズーっと食べる。
どうも、この芝居では本物のそばを使うようです(驚)
菊五郎のしっとりした情感の出し方は上手いが、物語としては淡々と終わる。


<蛇足12.31>
①新しい歌舞伎座で意外だったのはクロークが設置されていなかったこと。
不思議に思って職員に尋ねたら、地下にコインロッカーがあるのでそれを利用して
もらいたいとのことだった。随分割り切ってるな、と思ったが、そのコインロッカー
を館内放送等で積極的に案内している様子もなかった。普段コンサートホール通いで
クロークをホールのもてなしのひとつとして利用させてもらっている身としては
歌舞伎座のお客をもてなす思想に何やら物足りなさも感じた。
クローク慣れしている海外からのインバウンドも多いだろうに、不思議。

②休憩中に何人もの客が前々列に座っている老人に挨拶する場面をたびたび目撃した。
「さぞや名のある方なんだろうが、一体どなたなんだろう?」と不思議に思っていた。
思い出そうとしていたら、元経団連会長のI氏ではないかと思い当り、
手元のスマホで検索したら当たりだった。その老人は最後まで鑑賞されていたが、
こういう方にさりげなく出会うというのも東京ならではだね。

③中村吉右衛門の言葉から
「その人の教養というか、経験というか、そういうものが、役者としての人間を
膨らませてくれるのではないかと思います。それを自分の肥やしとできる人は
芸が太っていくでしょう。(略)お客様の多くは、芝居に限らず、優れたものを
ご覧になり、さまざまなことをご存じです。そういう鑑識眼、審美眼のある方たちが
満足できるようなお芝居をお見せしなければならないと考えます。私は、歌舞伎は
芸術だと思っております。高尚なもの、上等なものをお客様にお見せしたい。
それには自分のなかのものを高めることが必要です。そうでないと芝居は高まりません。」
(歌舞伎座HP歌舞伎人より引用)

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# by capricciosam | 2017-11-18 07:36 | 舞台 | Comments(0)

新日本フィルハーモニー交響楽団@すみだトリフォニーホール2017

【プログラム】

1 ラフマニノフ 交響詩「死の島」
2 チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番変ロ短調
3 レーガー ベックリンによる4つの音詩

指揮:上岡敏之
ソロ:カティア・ブニアティシヴィリ

すみだトリフォニーホールでは2回目となる新日本フィルハーモニー交響楽団
(以下「新日フィル」という。)演奏会。
指揮者は前回は国外若手による客演だったが、今回は音楽監督の上岡敏之さん。
新日フィルの本来の力を本拠地で聴く機会がやってきた、という感じだった。
日程の都合上、今回もマチネ。現在マチネは<ルビー>というらしい。
(前回聴いた時は「新クラシックの扉」と言ったが、宝石シリーズに統一された。)

しかし、凝ったプログラムだった。
画家ベックリンの描いた「死の島」(欧州の家庭ではよく飾れているらしい。)
にインスピレーションを得て作られたラフマニノフとレーガーの作品を演奏する
という珍しい機会だったが、同じ対象から得られる着想というのは、やはり様々だな、
と改めて思った。絶望や恐怖をも想起させるおどろおどろしい1に比べ、
3の清らかで繊細な調べよ。1は絵の印象をストレートに作品にしたようだし、
3は死して後に天上に昇るかのごとき発想の対比は実に興味深い。
やや金管の乱れが気になったが、上岡監督の指揮の下、新日本フィルも見事に
描き分けていたと思う。しかし、上岡監督の指揮は自在だね。
また、その指揮にピタッと寄り添い演奏する新日フィルのしなやかさは見事だった。
その上、アンコールが驚愕の一曲だった。

ワーグナー 楽劇「神々黄昏」より ジークフリートの葬送行進曲

「これがアンコール?!」上岡さんの真骨頂!
「もっと聞きたい!」と思わせる濃密な響き。
上岡監督で「オール・ワーグナー・プロ」なんてあったら最高だろうね!

2では後日Kitaraでリサイタルを開催するカティア・ブニリシティビリが登場。
力強い打鍵とスピードが印象的で、まるで大馬力のスポーツカーのような勢いの良さ、
アグレッシブさが印象的だったが、ひとつひとつの音が明瞭に聞こえてくる様には
感じなかった。隣席のすみだトリフォニーホールご常連と思われる方と話をしていたら、
「彼女は一音一音というよりフレーズで弾いているようだな」と感想を漏らしていた。
盛大な拍手に応えてアンコールを一曲。

ドビュッシー 「月の光」

こういう選曲なにやら既視感があるが、思い出すのはこの時か。
とかく派手な外見で注目されがちだが、現在注目のピアニストの実力の一端を
楽しませてもらった。

昼公演。3階席だったが、前回より前だったのでホールの響きにも不満はなかった。
やはり、聴く位置で印象は異なるね。

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# by capricciosam | 2017-11-17 07:02 | 音楽 | Comments(0)